Personal computer and Tablet

カメラ撮影

Chapter 1
デジタルー眼 撮影前にやるべきこと

Section 01 シャッターユニットの耐用回数を調べておく
Section 02 防塵防満の確認は購入時の必須項目だ
Section 03 店頭ではカメラのホールド感を確認する
Section 04 バッテリーの持続時間を事前に把握しておく
Section 05 ー眼レフとミラーレスどちらを選べばよい?
Section 06 応用撮影モードで思い通りの写真を撮る
Section 07 ぶれの防止には三脚+aが重要
Section 08 ISO感度の設定はISO400を基準とする
Section 09 よく利用する機能はマイメニューに登録する
Section 10 メモリーカードは信頼できる製品を選ぶ
Section 11 メモリーカードの容量は32GBにとどめておく

Column ウェアや持ち物は身を守ることから考える

Chapter 2
プロが教える! 目からウロコの撮影テクニック

Section 01 被写体を観察して感動の源を見つけ出す
Section 02 撮影前にプロが瞬時に考える6つの要素
Section 03 被写体に応じてAFモードを選択する
Section 04 3種類のAFエリアを正しく使いこなす
Section 05 AFモードとAFエリアのベストな組み合わせ
Section 06 MFを駆使して厳密なピント合わせを習得する
Section 07 光の特徴を考えて写真表現を追求する
Section 08 逆光撮影で被写体をドラマチックに見せる
Section 09 順光撮影で色と形をしっかり写し込む
Section 10 マイナス補正で黒を締め立体感と奥行きを強調する
Section 11 白飛びと黒潰れは撮影現場でコントロール
Section 12 露出補正の使いどころを正しく理解する
Section 13 暗い場所でぶれてしまうときはISO感度を上げる
Section 14 日中の長秒撮影では低ISO感度に設定する
Section 15 被写体に色を見つけて奇数で構成する
Section 16 被写体の中に線面点を読みる
Section 17 造形と質感は被写界深度のコントロールが肝となる
Section 18 現場にある色は積極的に強調する
Section 19 現場の光源と色温度を把握して撮る
Section 20 撮影状況に応じたフラッシュ活用術
Section 21 バウンスでフラッシュの光をなめらかにする
Section 22 フレーミングは周辺の要素に気を配る
Section 23 目線の高さを変えて奥行き広がりを撮影する
Section 24 評価測光と露出補正の併用を基本に撮影する
Section 25 水平垂直を正確に合わせる4つの方法
Section 26 ピントは液晶モニターを拡大して詳細に確認する
Section 27 撮影直後に確認するべき4つのポイント

Column 車はコンパクトのほうが気楽に撮影に臨める

Chapter 3
シーン&被写体別 撮影テクニックを知る

Section 01 色がきれいな被写体は風景モードで撮影する
Section 02 滝のしぶきを高速シャッターで表現
Section 03 海の表情を低速シャッターでなめらかに写し込む
Section 04 湖の写り込みを活かしてシンメトリーを狙う
Section 05 MFとプラス補正で桜を美しく撮る
Section 06 色や光のバランスを考えて紅葉を撮る
Section 07 街風景の活き活きとした表情をぶれで表現する
Section 08 都市風景を望遠レンズでデザイン的に捉える
Section 09 古い建物は質感を活かして撮影する
Section 10 屋外ポートレートは光の向きで演出する
Section 11 室内ポートレートは光源が何かを意識する
Section 12 相手を待たせないための撮影準備6つのポイント
Section 13 ノーファインダー撮影で偶然の瞬間を写し込む
Section 14 動く動物は1/500秒を目安に動きを捉える
Section 15 動物園では望遠+絞り開放で人工物を消す
Section 16 動きの速い被写体は置きビンで予測撮影
Section 17 夜景撮影に必要な機材と撮影の注意点
Section 18 暗闇では小型のライトでピントを確認する
Section 19 長秒撮影で光のラインを写し込む
Section 20 料理のシズル感は半逆光で演出する
Section 21 乗り物の撮影は被写体を切って臨場感を出す
Section 22 モノクロ撮影は被写体の明暗と質感に着目する
Section 23 開放絞りで花に寄りボケ感を強調する
Section 24 子どもをアップで切り取りかわいさを強調する
Section 25 イルミネーションを前ボケを入れて表現する
Section 26 花火や遊園地の光を露光中の操作で遊ぶ

Column カメラバッグは「ー生もの」のパートナー

Chapter 4
交換レンズ特徴を知って使いこなす

Section 01 レンズ購入時は対応の撮像素子を確認する
Section 02 自分が何を撮りたいかでレンズを選択する
Section 03 絞り値が変われば表現も変わる
Section 04 単焦点とズームの特徴を理解して使い分ける
Section 05 遠近感の表現は焦点距離でコントロール
Section 06 50mm限定で撮影するのは上達への近道
Section 07 遠近感の強調でメリハリのある表現を
Section 08 背景を大きくぼかす3つのポイントを知る
Section 09 望遠レンズの切り取り効果を利用する
Section 10 望遠レンズで歪みの少ない写真を撮る
Section 11 マクロレンズで被写体に近づき等倍で撮る

Column 巨匠に人物写真の王道を見る

Chapter 5
機材やプリントのメンテナンスと保管方法を知る

Section 01 プロアーとクリーナーでカメラの汚れを落とす
Section 02 撮像素子へのゴミの付着を予防する
Section 03 カメラとレンズの保管は湿気に要注意
Section 04 写真は外付けハードディスクに保存する
Section 05 外付けハードディスクはクッションで囲んで衝撃対策
Section 06 プリントした写真は無酸性ボックスで保管する
Section 07 染料と顔料の特徴を考えてプリンターを選ぶ…
Section 08 インクは純正がおすすめ用紙は初心者は光沢を読み返すべき

Column 読み返すべき巨匠の風景写真

Chapter 6
揃えておくべきアクセサリー

Section 01 携帯性や使用感を考慮して三脚を選ぶ
Section 02 フィルターを揃えて表現の幅を広げる
Section 03 撮影スタイルに応じてその他のアイテムを揃える

Chapter 1
デジタルー眼 撮影前にやるべきこと

Section 01
シャツターユニツトの耐用回数を調べておく

デジタルー眼レフカメラを購入する前に、力メラのシャッターユニットの耐用回数を調べよう。
基本的には耐用回数が多いほうが、長く使えることになる。
機種によって差があるが、故障した場合のユニットの修理代は、1〜5万円が目安だ。
またカメラの累積撮影枚数は、メーカーのサービスセンターや画像のEXIF情報で確認できる。

シヤッターユニットには寿命がある。

デジタル一眼レフカメラのシャッターユニットは、撮影時にシャッター幕を開いたり、閉じたりする装置である。
エントリークラスとプロ用の機種とでは、次ページのリストのように耐用回数が異なり、多いほうが耐久性が高い。
耐用回数はメーカーのホームページでチェックするのが早いが、機種によっては非公表の場合もある。
エントリークラスで3万〜10万回、ハイアマチュア用の機種で15万回前後、プロ用機種で20〜30万回を目安に考えるといいだろう。
シャッターユニットが故障した場合は、交換が可能だ。
修理代はエントリークラスで1〜3万円、プロ用機種で3~5万円程度をみておきたい。
場合によっては、修理するよりも状態のいい中古カメラを購入したほうがお得な場合もある。

中古カメラを買うときは、お店の人にシャッターユニットの交換歴や累積撮影枚数を聞いておこう。
今までの撮影枚数を自分で確認するには、メーカーのサービスセンターへ持っていくのが確実だ。
サービスセンターが近くにない場合は、撮影した画像のEXIF情報を見たり、フリーのソフトをダウンロードして確認しよう。

Section 02
防塵・防滴の確認は購入時の必須項目だ

屋外での撮影が多い場合、粉塵や水満が力メラやレンズに入るとトラブルのもととなる。
資金に余裕があれば、防塵・防満のカメラやレンズを使用するようにしたい。
防塵・防満の機種は、メーカーの力タログやホームページで確認できる。
撮影現場ではブロアーや布で機材をメンテナンスして、トラブルを未然に予防しよう。

風景中心の撮影なら防塵・防滝の機種を

風景やスポーツなど屋外で撮影していると、いつのまにか砂や細かな粉塵がカメラやレンズに付着してくる。
風が強い日は、レンズ交換のときにボディ内部にも入ることがある。
センサーやマウント部分の保護のためにも対策を考えておきたい。
近年増えている、バリアングルモニターの接合部にも要注意だ。
砂塊や雨に対応しているカメラとレンズは、ホームページやカタログの製品紹介欄に「防塵・防満」と表記してある。
購入前にチェックしておこう。
メーカー別では、キヤノン、ニコン、ペンタックスは防塵・防満ボディとレンズの種類は豊富だが、シグマやタムロンなどのサードパーティー製のレンズの場合、防塵・防適の機種は限られている。
筆者は風景撮影が多く、屋外でもレンズを交換するため、レンズはすべて防塵・防満のものを使用している。
カメラバッグにはメンテナンス用のブロアーや布を常備して、過酷な撮影状況にも耐えられるようにしている。
カメラとレンズのマウント結合部、レンズにあるAF/MF切り替えスイッチなどにも粉塵が入り込みやすいので、ブロアーややわらかい布で定期的に機材を掃除して、トラブルを未然に予防したい。

Section 03
店頭ではカメラのホールド感を確認する

カメラはカタログやインターネットの情報だけではなく、ショールームや店頭で実際に触ってから購入しよう。
力メラは小さくて軽ければよいというわけではなく、使用する予定のレンズやストラップをつけたときに、手の大きさや身体の感覚と馴染むかどうかが重要だ。
撮影スタイルや身体に合った大きさと重さという視点で選ぶようにしたい。

力メラの感触はインターネットではわからない

最近では、インターネットの口コミ情報などを見てカメラの購入を決意する方も多いと思う。
しかしそれだけではわからないのが、カメラを実際に手にしたときのホールド感(グリップ感)だ。
住んでいる地域によっては販売店が近くにない場合があるかもしれないが、できるだけお店でカメラを触ってから購入することをおすすめしたい。
人によって手の大きさやカメラを持ったときの感じ方が違うので、インターネットの意見は必ずしも絶対とはいえない。
また、何を撮影するかによって使用するレンズが異なるので、常用のレンズを装着した状態でカメラを持ち、試し撮りをして、しっくりくるか確認することが大切だ。
一般の写真愛好家向けに、軽さ、小ささを強調して販売されているカメラも多々あるが、必ずしも軽ければ使いやすいというわけではない。
ある程度の大きさや重さがあったほうが、実用上使いやすい場合も多いのだ。
特にミラーレスなど小型のカメラは携帯性が高く、便利ではあるが、男性にとっては小さすぎてカメラを持ったときのホールド感が弱く感じられることもある。
また、ハンドストラップなどはカメラの落下防止に役立つが、事前にストラップを取りつけてカメラの引っかかり具合を確認するなど、自分の撮影スタイルに合っているかどうか、カメラを触ってみることが重要だ。
購入を決めるのは、そのあとでよい。

Section 04
バッテリーの持続時間を事前に把握しておく

自分のカメラで1日中撮影した場合に、どれくらいバッテリーを消耗するかを把握するようにしておきたい。
必要性を感じたら、予備のバッテリーを準備すること。
冬場や寒冷地では消耗が早く、体温で温めながら持ち歩くと、パッテリーの持ちが良くなる。
液晶モニターで残量を把握できるので、こまめにチェックする習慣をつけよう。

長時間の撮影ではバッテリーの残量に注意

長時間の撮影をする場合は、バッテリーの持続時間に気をつけたい。
人によって1日の撮影枚数は異なるので、バッテリーをフル充電した状態でどれくらい使えるのか、事前に把握しておこう。
バッテリーは、冬場や、山の頂上などの寒冷地では減りが早い。
気温0度前後くらいだと、筆者の体感的には通常の2倍くらいのスピードでバッテリーが消耗する。
液晶モニターを使用したり、動画を撮影したりすると、特にバッテリーの減りが早くなる。
バッテリーは、体温で温めることで持ちがよくなる。
筆者は、1泊2日のロケで4本のバッテリーを持参し、冬場はジャケットのポケットの内側など、体温が伝わりやすい場所で持ち歩いている。
バッテリーは、中に封入されているニッケルや水素といった物質の化学反応によって電気を生みだしている。
バッテリーが冷えると、その化学反応が鈍くなって性能が落ちることもある。
そのような場合は、布で包んだカイロや体温などで温めることで科学反応が活性化し、復活する可能性がある。
これも、寒冷地での撮影のちょっとしたテクニックなので、覚えておいてほしい。

Section 05
ー眼レフとミラーレス どちらを選べばよい?

カメラの購入で困ったときは、動く被写体を撮るなら一眼レフ、携帯性と画質のバランスならミラーレスを目安にするとよい。
画質面では一眼レフ > ミラーレス > コンパクトだ。
ー眼レフ用のレンズは幅が広く、あらゆる被写体に対応できる。
ミラーレスはレンズの種類が少ないが、力メラ本体、レンズともにコストパフォーマンスが優れている。

カメラの購入で迷ったときは・・・

一眼レフとミラーレス、年々機種が増えてきて、どちらを購入したらよいのか迷っている方も多いだろう。
ここでは、両者の特徴をかんたんにまとめて比較してみよう。
まずミラーレスは、小型で軽量なため、旅行などで気軽に持ち運びたいときに向いている。
デザインもすっきりしていて、携帯性に優れている。
画質は、コンパクトカメラよりはきれいに撮りたいものの、本格的な一眼レフで撮れる画質までは求めない方や、スポーツなどの動く被写体をあまり撮らない方に向いている。
ミラーがないので、静かに撮影ができ、レンズを揃えたとしても一眼レフに比べてお財布に優しいのが特徴だ。
それに対して一眼レフは、画質はミラーレスよりも一般的に高画質だ。
レンズの種類が多いのであらゆる被写体に対応でき、拡張性が高い。
全体的にレンズのクオリティも一段上だ。
動く被写体への反応はミラーレスよりも早いので、撮影がしやすい。
また、光学ファインダーで視界がクリア、しっかりホールドして撮影できるので手ぶれもしにくいといった利点がある。
筆者は「で、結局どうしたらいい?」と聞かれると「予算と持ち歩きたいデザインかどうかで判断してください」と答えている。
スペックも大事だが、このカメラを持って歩きたいと思えるかどうかも大事なのだ。

Section 06
応用撮影モードで思い通りの写真を撮る

フルオートで思った通りの写真が撮れないと感じたときは、そこから一歩進んで、応用撮影モードを活用しよう。
被写界深度のコントロールは絞り優先モード、露光時間のコントロールはシャッター速度優先モード、絞りと露光時間を両方コントロールするにはマニュアルモードを選ぶ。
まずは、それらの特性を理解しよう。

各モードで思い通りの撮影を実現する

撮影現場ではフルオートでいい写真が撮れたと思ったのに、あとで見たらパッとしない印象の写真になってしまった、という経験はないだろうか。
きれいに撮れてはいるものの、自分がいいなと感じたようには撮れていないという状態は、絞り、シャッター速度、ホワイトバランスなどのカメラの設定が適切でないために起こる。
例えば、運動会の子どもや電車などの動いている被写体を止めて撮りたいのにぶれてしまったり、花の後ろをぼかして撮りたいのに背景までくっきり写ってしまったり、といった状態などである。
そのようなギャップを解消して思い通りに撮影するためには、応用撮影モードを活用しよう。
絞り優先(A.Av)モードでは、ピントが合って見える範囲(被写界深度)をコントロールできる。
被写界深度を浅くしてやわらかな表現にしたり、反対に深くして全体にピントが合っているように描写するといった調整が可能だ。
シャッター速度優先(S.Tv)モードでは、シャッター速度の調整で露光時間のコントロールができる。
動いている乗り物をびたっと止めて描写したり、反対に滝や川などをスローシャッターでなめらかに描写できる。
その他、プログラムオートやマニュアルも活用して、思い通りの写真を撮ろう。

Section 07
ぶれの防止には三脚+αが重要

被写体ぶれや手ぶれを防ぐには、三脚の使用がもっとも効果的だ。
しかし、三脚を使ってもぶれることがある。
主な原因は、風や地面からの振動、シャッターやミラー動作による振動だ。
これらのぶれを防止するには、重い三脚を使おう。
シャッターはレリーズやタイマーを使い、ミラーショック防止にはミラーアップ機能をONにして撮影しよう。

三脚+αで撮影時の振動を防止する

撮影時はぶれずに撮れたと思っても、撮影後にプリントしたり、パソコンの画面で見ると、被写体がぶれて写っている場合がある。
こうしたぶれを防ぐには、三脚を使うのが一般的だが、三脚を使用していても、風や道路、地面からの振動、シャッターを切るときの揺れなどでカメラが微妙に動いてしまうことがある。
こうした予期せぬぶれを防止するために、ここでは筆者が実際に実践している方法をお伝えする。
1つは、風によるぶれや地面からの振動を防止するために重い三脚を使うことだ。
軽い三脚を使用する場合は、三脚のセンターポールのフックにカメラバッグなどの重量があるものをひっかけて、三脚の重心を低く安定させる。
特に望遠レンズを使用するときはぶれやすいので、三脚プラス一脚で四脚として安定させる。
また、シャッターを切るときの振動を防止するために、カメラのタイマー機能やレリーズを使用して、手でシャッターボタンを押さないようにするのも有効だ。
さらに、ミラーアップ機能の設定をONにして、ミラー動作によるショックを受けないようにするという方法もある。
撮影直後は、液晶モニターで拡大表示を行い、ぶれがないかを確認しよう。

Section 08
ISO感度の設定はISO400を基準とする

シャッターチャンスを逃さず、かつ適度な高感度を維持できるのは、ISO400だ。
画質を落とすことなく、速いシヤッター速度で撮影することができ、絞りを絞っても撮影がしやすい。
さらに、状況に応じてISO100や1600への変更も迅速にできるため、シャッターチャンスを逃しにくいという特徴もある。

高ISO感度は画質が粗くなる

ISO感度とは、デジタルカメラが光を捉える能力を数値で表したものだ。
筆者は、移動中などでもシャッターチャンスを逃さないように、あらかじめISO感度を設定している。
その数値はISO400だ。
一般的にデジタルカメラは、高感度ほど画質が荒くなる傾向がある。
ISO400は適度な高感度でシャッター速度を速く保つことができ、手持ちで撮影しやすい。
しかも画質も荒れないので、あらゆる被写体に対応可能だ。
近年のデジタル一眼レフカメラは高感度でもノイズが少なくきれいになってきたが、いたずらに高感度に設定せず、ISO400を基準にしたい。
ISO400に設定しておけば感度をISO1600へ上げたり、ISO100へ下げたりする際の設定幅が少ないので、シャッターチャンスを逃しにくいというメリットもある。
ISO感度をオートに設定していると、暗い場所では自動的に高感度になってしまうので、シャドウ部などは特に画質の荒れが目立つ。
機種にもよるが、高感度は上限としてISO1600を目安に設定しよう。
日中など光量が十分にあり、露出が安定している撮影現場では、ISO感度を自由に調整して、絞りやシャッター速度に変化をつけ、ぼかしたり被写界深度を深くしたりと、写真のバリエーションを広げよう。

Section 09
よく利用する機能はマイメニューに登録する

デジタルカメラの機能は多彩だが、よく使う機能をマイメニューに設定しておくと、撮影シーンに応じての素早い設定変更が可能となる。
マイメニューはかんたんに設定を変更できるので、被写体や撮影スタイルに合わせて気軽に設定しよう。
ミラーアップ撮影など、カメラのボタンでショートカットできない機能を登録しておくと便利だ。

使わずにはいられなくなる便利な機能

多彩なデジタルカメラの機能がさらに使いやすくなる、おすすめの方法がある。
それはマイメニューの活用だ。
マイメニューとは、自分がよく使う機能を一カ所にまとめて表示できる機能のことで、カメラのボタンでショートカットできない設定などを登録しておくと、時間短縮のメリットもあり、使わずにはいられなくなる。
筆者はミラーアップ、ホワイトバランス、ピクチャースタイル、MWB画像選択、長秒時露光のノイズ低減、高感度撮影時のノイズ低減をマイメニューに設定している。
ミラーアップは、ミラーによるシャッター時の微振動を防ぐための機能で、望遠レンズの使用時や、長秒撮影で振動を防ぎたいときに利用している(P.21参照)。
ホワイトバランスは、どの色温度を基準にするかを決める設定で、肉眼に近い印象の太陽モードをよく使っている。
ピクチャースタイルは、被写体の色彩に惹かれて、色を強調したいときに風景モードを使っている。
長秒時露光のノイズ低減と高感度撮影時のノイズ低減は、日中の撮影と夜の撮影など、撮影シーンに合わせてよく設定を変えるので登録している。
マイメニューは、キヤノンでもニコンでも存在する。
操作は両メーカーともほぼ同じなので、ここでは、キヤノンの画面を使って、マイメニューの登録方法を見てみよう。

Section 10
メモリーカードは信頼できる製品を選ぶメモリーカードを選ぶ

基準は、容量、転送速度、金額と安全性のバランスだ。
安価なカードの中には、認識やデータ復旧がしにくいなど、信頼性に欠けるものもある。
復旧ソフトなどのサポートがあるメーカーのカードは、安心して撮影ができる。
誤って初期化してしまったときは、あわてずソフトの指示に従って復旧しよう。

メモリーカードは信頼度の高いものを使う

デジタルカメラで使われる主なメモリーカードは、CF(コンパクトフラッシュ)とSDカードだ。
これらのメモリーカードを購入する際は、容量と転送速度、価格と安全性のバランスを事前に確認するようにしたい。
最近ではCFカードで最大512GB、SDカードで256GBなどと、大容量のカードも増えてきた。
この容量については、P.28で詳しく解説する。
メモリーカードの転送速度は、90〜100MB/S(毎秒90〜100MB)の転送速度があれば、十分早いと感じられるレベルだろう。
安全性に関しては、筆者はSDカードよりもCFカードをおすすめしている。
SDカードの接触端子は剥き出しになっているため、カードを手渡しするときなど、静電気でデータが消えてしまうことがある。
CFカードを利用できるカメラをお持ちの場合は、積極的にCFカードを利用したい。
こうしたハードウェアとしての安全性はもちろんのこと、万が一データを初期化して消してしまったときなどの復旧のしやすさにも違いがある。
例えば、サンディスクのハイエンドクラスのカードでは、復旧ソフト「レスキュープロデラックス」を一年間無償で利用できる。
また、「カードリカバリー」などの有償復旧ソフトは、主要なメーカーをほとんどカバーしているので、他メーカーのカードを使用している方はぜひ覚えておこう。
価格は2.000〜2.500円くらいだ。
こうした復旧ソフトを使えば、撮影中に間違えて初期化してしまってもあわてる必要はない。
カードを抜き出して、ソフトウェアの画面の指示に従えば、ほぼ復旧できるだろう。

Section 11
メモリーカードの容量は32GBにとどめておく

デジタルカメラで撮影した写真を保存するためには、メモリーカードが必要だ。
大容量のカードは便利だが、その分、トラブルの際に失うデータも多くなる。
自分の撮影量に応じたカードを選ぼう。
持ち歩くときには、カードケースに入れて破損やデータ損失を防ぎたい。
動画を同時に撮影する方は、容量の大きい力ードが必要となる。

大容量カードはトラブルが怖い

メモリーカードの容量は、最大クラスでCF(コンパクトフラッシュ)カードが512GB、SDカードが256GBだ。
容量が大きいほど、それだけ多くのデータを保存できるが、一方でトラブルの際には失うデータも多くなる。
筆者は一日あたりの平均的な撮影量を把握していて、すべてRAWデータで撮影した場合でも32GB以上のカードは必要ないことがわかっている。
そのため32GBのメモリーカードを1枚用意して、予備として16GBや8GBのカードを持参するようにしている。
ただし、写真だけでなく、同時に動画を一緒に撮る場合はデータ量が多くなるので、より大容量のメモリーカードが必要になる。

メモリーカードを持ち歩くときには、カードケースを使いたい。
信頼性の高いメーカーのカードでも、メモリーカードを剥き出しでポケットに入れるなどすると、破損やデータの損失につながることがある。
カードケースは外からの圧力に強い、シェルタイプがおすすめだ。
ケースの中には防水のタイプもあるので、外からの衝撃はもちろん、多少の水濡れからもメモリーカードを守ってくれる。
ケースを開けたときにカードが落ちないようになっている、ストッパーつきのものを選ぶとよいだろう。

Column
ウェアや持ち物は身を守ることから考える

筆者は風景写真を撮影することが多い。
風景写真を撮る場合、力メラやレンズの知識だけでなく、山、海、気象などを学び、身を守ることを考えてから旅に出る。
愛用しているアウトドアブランドはモンベル。
理由は商品力タログが用途別でわかりやすいからで、筆者は日本の自然環境を知り尽くしているブランドという印象を持っている。
冬山でも登ると汗をかくので、汗を逃がすべンチレーションがついていて、撮影小物を入れておけるポケットも多いモンベルのウェアは、屋外での撮影にとても重宝している。
パンツは、冷えやすい膝やお尻の部分が厚い素材で保護されているものを使用している。

また昼間の登山でも、森の中は暗いことがあるのでヘッドライトを常備している。
森はアウェーという意識で、危険を前提に撮影準備を行っている。

Chapter 2
プロが教える! 目からウロコの撮影テクニック

Section 01
被写体を観察して感動の源を見つけ出す

フルオートではきれいな写真が撮れるが、撮影者の感動したポイントが伝わりにくい。
撮影前には被写体を観察して、美しいと感じるポイントを見つけ出そう。
「形」「線」「色」「光」の4つの要素を被写体の中に見出すことが重要だ。
ポイントが見つかったら、それに合わせて絞り優先、シヤッター速度優先といった撮影モードを選んでみよう。

被写体の中にある感動の源を探る

一眼レフを購入後、とりあえずフルオートでカメラを使いはじめて、気づくとそのままフルオートで撮り続けている・・・
心当たりのある方も多いのではないだろうか?
近年の一眼レフカメラは高性能なので、実用上カメラ任せでもきれいな写真が撮れて、一定の満足感を得ることができる。
その反面、カメラ任せでは撮影者の感動や意図を写真に反映させにくいという側面もある。
撮影現場の感動が、写真にすると何かつまらなく見えてしまう。
そのような場合は、被写体をしっかり観察して、自分は被写体のどこに感動したのかを把握するように心がけよう。
P.32の作例を見てほしい。
海辺を観察していると、波打ち際のしぶきや形、海の色、差し込む光など、表情のバリエーションが豊富であることがわかる。
フルオートで撮影したP.32の左の作例は、平凡な印象で、撮影者がどこに感動したのかが伝わりにくい。
右の作例では、波が打ち寄せ引き返す、動きの美しさを表現するために、NDフィルターと三脚を使用してスローシャッターで撮影した。
ポイントは、「形」「線」「色」「光」をキーワードに被写体を観察することだ。
それにより、表現の幅も広がるはずだ。

Section 02
撮影前にプロが瞬時に考える6つの要素

写真がうまくなるための基本は、撮影前に被写体を観察し、写真を見る人に何を伝えたいのかを明確にすることだ。
それができるようになったら、レンズ、仕上がり、撮影モードなどの設定や、三脚やフィルターなどの使用の有無を瞬時に判断する。
ここでは、写真の仕上がりを左右する6つの要素を紹介する。

仕上がりを左右する6つの要素

撮影時にプロが瞬時に考える要素が6つある。
それは、

① 被写体の観察
② レンズ(広角・標準・望遠)の選択
③ 仕上がり設定(スタンダード・風景等)の選択
④ 撮影モード(絞り優先・シャッター速度優先)の選択
⑤ 露出値(絞り・シャッター速度)の選択
⑥ 三脚やフィルター

の選択の6つの要素だ。

変化し続ける被写体の状況を読みながら、これらの要素を組み合わせて撮影しよう。

① 被写体の観察
まずは被写体を観察することで、何を伝えたいのかを明確にしたい。
カメラの設定をどうするのかは、次の問題だ。

② レンズ(広角・標準・望遠)の選択
被写体の観察で伝えたいことが見えてきたら、レンズの選択を行う。
遠近感を表現したいなら広角、遠くのものを大きく引き寄せたいときは望遠を選ぶ。

③ 仕上がり設定(スタンダード・風景等)の選択
次に仕上がり設定を選ぶ。
被写体園エに合わせて、効果的な画像に仕上oげてくれる。
筆者は、風景を撮影することが多いので風景モードが標準設定だ。
曇天でも本来の色を引き出してくれる。

④ 撮影モード(絞り優先・シャッター速度優先)の選択
撮影モードの選択では、全体にピントを合わせたいときや背景をぼかしたいときは絞り優先。
動く被写体をはっきりと見せたいときはシャッター速度優先を選ぶ。

⑤ 露出値(絞り・シャッター速度)の選択
次に、露出値の設定を行う。
歩く人をぶらさずに撮るにはシャッター速度1/125秒以上、車や電車は1/500秒以上。
絞りはF2.8~4で背景がぼけ、F11〜16で|全体にピントが合う。

⑥ 三脚やフィルター
光量が足りない早朝や夕方、室内での撮影のほか、昼間の滝などを意図的になめらかに表現したいときには三脚やNDフィルターの利用を検討する。

Section 03
被写体に応じてAFモードを選択する

AFモードは、撮影状況と被写体に合わせてAF(オートフォーカス)の動作を決める機能だ。
選び方はかんたんだ。
被写体を観察して、どのような動きをするかで判断すればいい。
被写体が止まっていれば静止型、動いていれば追従型、止まったり動いたりして不規則な動きをする場合は不規則対応型(静止型と追従型の自動切り替え)だ。

AFモードの特徴を理解して選ぶ

AFモードとは、撮影場所の状況や被写体に合わせてAFをどのように作動させるかを選択する機能だ。
AFモードは「止まっている被写体を撮る(静止型)」、「動いている被写体を撮る(追従型)」、「AFモードを自動的に切り替える(不規則対応型)」の3つに分類される。
それぞれ、どのようなシーンに適しているのかをかんたんにまとめたい。

まず静止型では、モノや料理、建築など、その名の通り静止している被写体に有効で、シャッターボタンを半押しすると一度だけピントを合わせるモードだ。
次に追従型は、陸上の競争や電車など、常に撮影距離が変化しながらも次の動きが予測できる不
被写体に適しているモードだ。
シャッターボタンを半押ししている間、被写体にピントを合わせ続けてくれる。
最後に不規則対応型は、被写体の状態に応じて、静止型から追従型へとカメラが作動特性を切り替えてくれるモードで、動きが読みにくいスポーツの撮影などに適している。
AFモードは、各カメラメーカーによって名称は異なるが、キヤノンとニコンの名称を参考までにあげておく。

静止型(キヤノン:ワンショット/ニコン:AF-S)
追従型(キヤノン:AIサーボ/ニコン:AF-C)
不規則対応型(キヤノン:AIフォーカス/ニコン:AF-A)。

Section 04
3種類のAFエリアを正しく使いこなす

AFエリアの設定では、AF(オートフォーカス)で撮影する場合にカメラがピントを合わせる方法や範囲を決められる。
風景などの静止物に向いているのが静止型エリア、スポーツなどの動く被写体に向いているのが不規則対応型エリアや動作対応型エリアだ。
動作対応型の場合、意図しない被写体にピントを合わせてしまうこともあるので注意が必要だ。

代表的な3つのAFエリアを理解する

オートフォーカスでピントを合わせる位置のことを、フォーカスポイントという。
AFエリアを設定すると「カメラがどのように、どの位置で、フォーカスポイントを選ぶのか」を決めることができる。
メーカーや機種によって、搭載されているAFエリアの種類やしくみが異なるが、ここでは代表的な分類を紹介しよう。

まず、基本として考えたいのが「静止型エリア」である。
このAFエリアは、AFモード「静止型(P.36)」と組み合わせて使用することが多く、カメラの画面内に表示される1点のフォーカスポイントにピントを合わせる。
静止型エリアは花や風景、料理など、静止物の撮影向きといえる。

一方、動きのある被写体に向いているのが「不規則対応型エリア」や「動作対応型エリア」だ。
不規則対応型エリアは、被写体の形や色などからカメラが自動でフォーカスポイントを判断する。
また動作対応型エリアは範囲限定版の不規則対応型エリアともいえ、画面をいくつかのエリアに区切り、撮影者が選択したエリア内を中心にカメラが自動でフォーカスポイントを判断する。
注意点は、これらはメーカーによって考え方が異なるということだ。
もっともカメラに近いものに優先してピントを合わせるものもあれば、人間を優先するものもある。
そのため、撮りたいものとは違うものにピントが合ってしまうこともある。

Section 05
AFモードとAFエリアのベストな組み合わせ

AFモードとAFエリアの組み合わせは、被写体が静止物の場合、その名の通りに静止型+静止型エリアの組み合わせがよい。
動く被写体で、動きが予想しやすい場合は、追従型+静止型エリアもしくは動作対応型エリア。
動きが予測しにくい場合は、不規則対応型+不規則対応型エリアの組み合わせで撮影してみよう。

被写体の動きで組み合わせを判断

AFモードとAFエリアの組み合わせは、ややこしく感じるが、2つの観点で考えるとわかりやすい。
まず、被写体が静止しているか動いているかという観点。
もう1つは、動いている被写体の動きの予測が可能か、不可能かの観点だ。
設定の選択は、この2つのポイントを組み合わせて考えるとわかりやすいだろう。

Section 06
MFを駆使して厳密なピント合わせを習得する

AFでピントを合わせにくい被写体を撮影するときは、MFの出番だ。
またAFエリアの外にある被写体にピントを合わせるときも、MFを使って厳密なピント合わせをするとよい。
MFだけでピント合わせが難しい場合は、等距離にある被写体をAFロックして構図を決めてから、フォーカスリングを回してMFに切り替え、ピントの調整をするとよい。

AFとMFを切り替えて使い分ける

MF(マニュアルフォーカス)とは、フォーカスリングを自分で回してフォーカス位置を決める、手動ピント合わせのことである。
AF(オートフォーカス)が苦手とするシーン、例えば暗い場所、空などの単色の平面、檻の中にいる動物のように被写体とカメラの間に他のピントが合ってしまう物体が存在している状態、強い逆光やビルの窓ガラスなどの反射では、MFを活用しよう。

また筆者は、風景撮影の際、AFエリアの外にある被写体にピントを合わせたいときに、よくMFを使う。
三脚をたてて液晶モニターを拡大し(P.82参照)、MFを使って厳密にピント位置を決めるやり方だ。

また、三脚がなく手持ちでMF撮影するのが難しいと感じる場合、AFとMFの両方を活用する方法もある。
まず、狙った被写体にAFでピントを合わせ、構図などのフレーミングを吟味したあと、フォーカススイッチを切り替えてMFにする。
そのあと、フォーカスリングを回して厳密にピントを合わせていくというやり方だ。
MFを覚えると、AFやAFエリアにとらわれない自由なフォーカシングが可能になり、撮影の自由度がグッと増すことを実感できるはずだ。

Section 07
光の特徴を考えて写真表現を追求する

いろいろな光の特徴を学んで、撮影に活かそう。
被写体の質感を表現して立体感を与えたいときは、斜光やサイド光。
色をしっかり表現したいときは、順光や斜光。
シルエットや光そのものを被写体として、雰囲気のある表情を撮影できるのは逆光。
影を活かした力強い作品は透過光で撮影できる。
被写体だけでなく光の特徴も考えると写真の幅が広がる。

光こそ写真の本質ということを理解する

写真の本質は光だ。
撮影時に光の種類(順光、斜光、サイド光、トップ光、逆光、透過光)を見極める習慣を身につけて、表現の質を高めよう。
ここでは、主に太陽を光源とした場合の光の種類と特徴を説明する。

■ 順光
順光は、太陽の光を背にした状態の光だ。
風景の場合、空をしっかり青色で表現したいときや、大地の色をくっきり見せたいときに効果的だ。
反面、影が出ないので立体感に乏しく、平面的になりやすい。

■ 斜光
午前10~11時、午後13~15時頃の斜め上からの光で、光と影のバランスで被写体を美しく表現できる。
質感や色の表現に優れている。
人物撮影で影が気になるときはレリフ板を使うとよい。

■ サイド光
横からの光で、被写体を立体的に見せる効果がある。
風景の場合は朝日や夕日がサイド光となり、影に表情が出るため、ドラマチックな写真を撮ることができる。

■ トップ光
昼間の12時前後、太陽が一番高いところからの光で、被写体の真下に影ができる。
風景写真では画面全体が明るくなるが、真下に影ができるため表情に深みが出ない。
人物撮影でも、鼻や顎の下に不自然な影ができてしまう。

■ 逆光
レンズを向けた方向に太陽などの光源がある場合は、時間帯に関係なく逆光となる。
光そのものが被写体となることもあり、雰囲気のある、表情豊かな写真を撮ることができる。

■ 透過光
葉など半透明な被写体から、光が透けて感じられる光線状態だ。
被写体の色と影が印象的に表現され、力強い作品となる。
露出をマイナス補正で撮ると、シャドウが締まり、写真に立体感を与えてくれる。

Section 08
逆光撮影で被写体をドラマチックに見せる

逆光で撮影すると、被写体が抽象化・イメージ化されて印象的な写真を撮ることができる。
逆光撮影では、光源にレンズを向けるので、撮影シーンごとに露出補正が必要となる。
シルエットの表現はマイナス補正、光が溢れる明るい表現はプラス補正だ。
また、ゴーストやフレアーが出るときは八レ切り(P121参照)をしよう。

逆光は鑑賞者の想像力うを刺激してくれる

被写体をドラマチックに見せたいときは、逆光で撮影しよう。
順光と比べて光と影の効果で被写体が抽象化され、写真を鑑賞する人の想像力を刺激してくれる光だ。
逆光は日中の太陽光に限らない。
森の中の木漏れ日や夜の街灯など、昼夜を問わず光源にレンズを向けたときの光の状態である。

P46の作例は早朝、東京湾でのカットだ。
船と灯台はそれほど目新しい被写体ではないが、朝日の逆光によってシルエットで表現すると
「これは灯台です。船です」
といった説明的な印象は薄れ、その形が美しく浮かび上がる。
シルエットの場合は黒い被写体が中心となるため、マイナス補正で撮影をしよう。

P.47下の、森の中で木々の隙間から漏れてくる光は、そのまま撮影すると木々が暗く写ってしまう。
プラス側の露出補正(作例は+2補正)で撮影して、眩しい白昼夢のような世界を表現した。
逆光の撮影では露出補正が重要になってくるので、慣れないうちは補正の度合いを変えて撮影してみることが大切だ。
ポイントは白飛びと黒潰れをしすぎないよう、ヒストグラムで確認しながら撮ること(P.52参照)。
シルエットや露出補正を意識して、撮影の幅を広げていこう。

Section 09
順光撮影で色と形をしつかり写し込む

順光は、光源を背にした撮影で、被写体の色や形がはっきりとした写真が撮れる。
一方で陰影に乏しく、立体感や奥行きが少ない写真になりやすいので、色や形に注目してシンプルな表現を心がけよう。
仕上がり設定を風景モードに設定したり、PLフィルターを使用して撮影したりすると、色がより鮮やかに再現される。

順光は色や形をはっきり表現できる光

被写体を色鮮やかにはっきりと見せたいときは、順光を利用しよう。
順光は、カメラの背後から被写体に向かって光源が差し込む状態で、被写体の色や形をはっきりと表現するときに適した光だ。
一方で、影はその被写体の裏側に(カメラから向かって遠いほうに)落ちるので、陰影に乏しく、立体感が少ない写真となりがちだ。
ただし、撮影地が川、海、湖できれいな場所であれば、立体感のことは忘れて色や形に着目すればよい。
順光で撮影することで、水面本来の美しい色が鮮やかに再現され、透明感も捉えることができる。
レンズが望遠であれば、影が出ないことをポジティブに考えて、被写体の色や形に注目してグラフィック的(平面的)に被写体を切り取るのも面白い。
広角で撮影する場合には、自分の影が入ってしまう可能性があるので、カメラ位置を高くしたり、撮影位置を後ろに下げたりして焦点距離を長くすれば、影が写り込まずに撮ることができる。
色にこだわるときは、カメラを風景モードに設定してPLフィルターを使うと、さらに色が強調された写真に仕上げることができる。

Section 10
マイナス補正で黒を締め立体感と奥行きを強調する

写真の中にシャドウが入るとコントラストが上がり、立体感や奥行きを感じやすい写真になる。
シャドウの多いシーンでは、撮影時に露出をマイナス補正すると、黒が黒としてしっかり写り、締まりのある写真に仕上がる。
撮影の際には、被写体だけでなく、光の状態や陰影に着目して表現の質をアップさせよう。

シャドウを入れてコントラストを上げる

同じ被写体でも、時間帯や日を変えることで光の状態も変わり、影の見え方が異なってくる。
その結果、写真の印象も変わって見えることになる。
ここでは、撮影時に被写体だけでなく、光と影にも着目することを覚えよう。
人間の目は明るいところと暗いところを行き来するため、写真の中に明部と暗部があると、視覚効果で立体感や奥行きを感じやすい傾向がある。

作例を見てみよう。
P.50の作例は紫陽花にまだら模様に光が当たっている場所を見つけて撮影したものだ。
紫陽花そのものは、その季節になればどこにでも咲いている身近な花であるが、スポットライトのような光が当たることで周囲に影ができ、花が浮かび上がって見えるような光の効果が生まれている。

シャドウの多い場面では、撮影時に露出をマイナス補正すると黒が黒として描写され、黒が締まった写真に仕上がる。
マイナス補正をしすぎると明るい部分(作例では紫陽花の花びら)まで暗くなり、全体が沈んで見えてしまうので注意しよう。
フアインダーで被写体を見るだけでなく、光の状態を意識して露出補正を行うことで、陰影の効果が写真に取り入れられ、表現の質が上がるのだ。

Section 11
白飛びと黒潰れは撮影現場でコントロール

白飛びとは、写真の真っ白に見える箇所のこと。
黒潰れとは写真の真っ黒に見える箇所のことをいう。
いずれもデータが存在しない状態なので、画像処理であとから情報を引き出してくることは不可能である。
撮影時にはヒストグラムを確認しながら露出補正を行い、白飛び、黒潰れを防止しよう。

ヒストグラムを確認して白飛び黒潰れを予防する

白飛びとは、露出オーバーによって白一色となって見える箇所のことで、データ上は被写体の情報がなくなってしまっている状態である。
黒潰れとは、露出アンダーによって真っ黒に見える箇所のことで、データ上はシャドウ部のディテールがなくなっている状態である。
いずれも写真データ上の詳細な情報が失われていることを意味するので、例えば明るい雲の表情や、人物撮影で影になってしまった表情などが、結果として再現できないことになる。
もともとの情報がなければ現像時の調整もできないので、白飛びと黒潰れは撮影現場でコントロールしなくてはならない。
カメラには白飛びを教えてくれる機能がついていることもあるので、その場合は白飛び警告をONにしておこう。
また、撮影データをビューファインダーで見るときはヒストグラムの表示をONにして、視覚的に確認しよう。
判断が難しければ、同じ場所で少しずつ露出を変えて撮影しておくとよい。
ただし、表現の一環として白飛びや黒潰れを利用することもできるので、状況に応じて柔軟に考えよう。

Section 12
露出補正の使いどころを正しく理解する

明るい(白い)被写体、暗い(黒い)被写体を目で見たときと同じ明るさで撮るときに必要なテクニックが、露出補正だ。
プラス補正は被写体を明るく、マイナス補正は被写体を暗く写してくれる。
明るい(白い)被写体はプラス補正、暗い(黒い)被写体はマイナス補正を行うと、見た目と同じイメージに仕上がる。

目で見た色合いは露出補正で表現する

「明るい被写体を撮影したら実際の明るさより暗く写った」、「黒い被写体を撮影したら、実際よりも明るく写ってしまった」。
このように撮影するときに見たイメージと仕上がりのイメージにギャップが生まれる場合がある。
これは、人間の目が認識する明るさとカメラが認識する明るさに違いがあることが原因だ。
目は白い被写体を白い「色」として認識するが、カメラは「明るい」と認識をして、中間調のグレーに表現しようとする。
同じく黒い被写体は目では黒い「色」として認識するが、カメラは暗いと認識して中間調のグレーに表現しようとする。
ここで必要となる撮影テクニックが、露出補正だ。
プラス補正は被写体を明るく、マイナス補正は被写体を暗く表現する。
ここで冒頭の一文に戻ると、明るい被写体が暗く写ったということなので、このときの露出補正はプラス補正にすれば、目で認識したのと同じ、明るい被写体として表現される。
反対に黒い被写体が明るく写った場合は、マイナス補正にすれば、目で認識したのと同じ黒い被写体として表現される。
「明るい(白い)被写体はプラス補正、暗い(黒い)被写体はマイナス補正で見た目に近い表現となる」ということを覚えておこう。

Section 13
暗い場所でぶれてしまうときはISO感度を上げる

絞り優先モードで被写体をぶらさずに撮りたいときは、ISO感度を高感度(ISO800以上)に設定することで、シャッター速度を上げることができる。
ISO1600くらいまでなら、ノイズも気にならないはずだ。
一方、シャッター速度優先モードで被写体のディテールを見せたいときは、ISO感度を上げることで、絞りを深くして撮影できる。

ISO1600までならノイズも気にならない

絞り優先モードで、スナップ撮影をしながら歩くときは、ISO100〜400、F5.6〜8あたりに設定しておくとよい。
高感度によるノイズもなく、絞りもクセのない設定値のため、様々なシチュエーションに対応できる。
しかし、ふと入った教会の中など、観光地では三脚使用が禁止の暗い場所も多くある。
その場合は、シャッター速度が自動で遅くなるので、そのまま手持ちで撮るとぶれてしまう。
そのようなときはISO感度を上げることで、絞りの設定を変えることなく、手ぶれにならないシャッター速度を確保できる。
手ぶれの目安となるシャッター速度は、1/焦点距離と覚えておこう。
200mmなら1/200、50mmなら1/50という具合だ。
最近のデジタル一眼レフは高感度でもきれいに写るようになり、暗い場所での撮影も随分楽になった。
とはいえ、ISO3200くらいになるとシャドウ部のノイズが気になってくるので、筆者はISO1600までを目安としている。
また、シャッター速度優先モードで撮影する際、シャッター速度が速いと、暗いところでは絞りを開かなければやはりぶれてしまう。
シャッター速度はそのままに絞りを開けずに撮りたい場合は、ISO感度を上げることで深く絞って撮影することができる。

Section 14
日中の長秒撮影では低ISO感度に設定する

日中の長秒撮影では、

① ISO感度を下げる
② NDフィルター

を使うという2つの方法で、シャッター速度を0.5〜1秒程度に落とそう。
広角レンズの場合は、フィルターのケラレに要注意だ。
また、スローシヤッターでは三脚によるぶれの防止が必須となる。
同じ秒数では広角よりも望遠のほうが流れが速く写ることも覚えておこう。

低ISO感度やNDフィルターを活用する

長秒撮影は、滝や川などの水の流れや雲の流れをなめらかに表現したいときに使う定番テクニックだ。
ISO感度が高いとシャッター速度が速くなってしまうので、ISO感度を50や100に下げてシャッター速度を遅くする。
同様に、絞りをF16など深く設定してもシャッター速度は遅くなるので、ISO感度と合わせて設定するようにしたい。
絞りを開放寄りで撮影したい場合や光量の多い日中などは、それでもシャッター速度が落ちない場合が多い。
NDフィルター(減光フィルター)をつけて、レンズを通過する光の量が減るように、コントロールする。
広角レンズのときは、フィルターのケラレ*で画面周囲にフィルターが写り込まないように注意しよう。
そもそも長秒とは、目安として0.5〜1秒前後よりも長い時間のことを指している。
滝や川の流れのスピードはそれぞれで異なっているため、適切な秒数も異なることになる。
当たり前のことだが、スローシャッターの撮影では三脚は必須だ。
やわらかい地面や道路が近いときなどは、振動によるぶれに注意したい。
また、広角、標準、望遠レンズで比べると、同じシャッター速度では広角よりも望遠のほうが早く流れて写る。

Section 15
被写体に色を見つけて奇数で構成する

見慣れた風景など、写真を撮る気が起きないような場所でこそ、自分でルールを設定して撮影するとよい。
ここでのルールは色だ。
被写体に色を見つけたら、色の組み合わせを考えてみよう。
色数が奇数の組み合わせだと、パランスよく見える。
色と同時に建物や自然風景の質感を意識すると、写真にさらに深みが出てくる。

画面内の色を整理して撮る

家の近所や公園などの見慣れた風景、有名ではない撮影場所、テーマを与えられたから撮らなくてはならないときなど、「ああ、ここではいい写真は難しいな」という場所でこそ、自分にルールを課して撮影してみよう。
例えば「色を見つけて整理し切り取る」ことを考えてみてはどうだろうか。
周りを見回し、先入観を捨てて、色だけを見てみよう。
するとどうだろう?
見飽きたはずの被写体が違って見えてこないだろうか。
P.60の作例は旅先で撮ったものだが、観光地でもなく、それほどきれいでもない普通の港で、水面に映りこむマンションから抽出した色の光景だ。
つまらないと思ってしまうと、人は観察をしなくなり、感性の扉を閉じてしまう。
それはいい写真を撮る可能性を閉ざしてしまうのと同じことで、もったいない。
色を見つけることができたら、その中から3色や5色といった奇数の色数で構成してみよう。
多くの国の国旗が奇数色で構成されているように、バランスがよく見える。
その色が建物の色であれば建物の質感をいっしよに写せばいいし、P60の作例のように水面であれば、水面の質感を合わせて表現すると写真に深みが出てくる。

Section 16
被写体の中に線・面・点を読み取る

何を撮影すればよいのかわからなくなったら、「線」「面」「点」をキーワードに撮影してみよう。
「被写体のどこに線があるのか」「海や空のように面となる場所があるか」「何を主役にして点景として捉えるのか」など、被写体を観察して探し出そう。
同時に、「広角レンズではどうだろう?」などとイメージすると撮影の幅が広がってくる。

「線」「面」「点」という重要な三要素

撮影に慣れてくると「何を撮ったらいいのかわからない」という、いわゆるスランプの状態が来る場合がある。
P60では、「色」で被写体を見る方法をお伝えした。
ここではさらに幅を広げて、被写体を「線」「面」「点」で観察してみたい。
まず準備段階として、被写体を言葉で捉えるのをいったん止めてみよう。
例えば富士山を見たときに「富士山」という言葉で捉えるのではなく、「三角形の線」「陸の面、空の面、山の面」「点として山を見る」といった具合だ。
P.62の作例で意識したのは「教会がある港の風景」という言葉ではなく、「水平線を線として」「海面と空と山を面として」「教会を点として」捉えることだ。
判断を早くするためには、「焦点距離が24mmレンズならこう見える」、「70mmレンズならこう見える」のように、被写体を見ながらレンズによる切り取りのシミュレーションを同時に行うとよい。

Section 17
造形と質感は被写界深度のコントロールが肝となる

ここでは被写体を「造形」と「質感」の視点で撮影する方法を紹介する。
被写界深度を深くすると、形や質感がしっかりと描写されて、被写体の表情を伝えやすくなる。
反対に被写界深度を浅くすると、ピントを合わせた箇所以外はやわらかにぼけて、心情を伝えやすくなる。
被写界深度を「深くするか」、「浅くするか」という二段構えで臨みたい。

造形エという視点で被写界深度を考える

ここでは「被写体の造形と質感」を視点とした撮影の方法を取り上げたい。
ポイントは被写界深度だ。
被写界深度とは、ピントが合っているように見える範囲(奥行き)のこと。
被写界深度が深い場合、写真全体にピントが合っているように見えるため、被写体の造形や質感を表現できる。
人の顔でいえば、輪郭や鼻、耳などが造形、肌のつるつるした感じやざらざらした感じが質感だ。
P64の作例は、望遠ズームレンズで絞りF16で撮影した。
それにより、山のゴツゴツした質感や雲の表情をしっかりと捉えることができた。
P.65の作例は、望遠レンズで絞りF2.8で撮影した。
ピントの合っている葉の周辺以外は、やわらかくぼけている。
背景がぼけることで、心情的な表現や空気感、雰囲気といつた、目に見えないものを写真で表現することができる。
被写界深度は、同じ絞り値でも広角レンズのほうが望遠レンズに比べてピントが深く合っているように見える。
被写体を造形や質感という視点で考えた場合、被写界深度を深くするか浅くするかという二段構えで考えるとわかりやすいだろう。

Section 18
現場にある色は積極的に強調する

撮影現場で、ある特定の色に感動した場合、その色を積極的に強調していきたい。
一方、彩度やコントラスト、ホワイトパランスの調整で、現場になかった色を使うのは、あまりおすすめしない。
色のコントロールは「仕上がり設定」「ホワイトバランス」「現像」を使うことで、撮影現場で見た色を引き出すという考え方で調整しよう。

現場にない色は使わない

デジタルカメラでの撮影は、撮影後の現像などで色を調整できるメリットがある一方、パソコンで操作しすぎて撮影時に見た色、感じた色がわからなくなるというデメリットがある。
あとで混乱しないように、あらかじめ撮影者が色のルールを作っておくことが重要だ。
筆者は、色を調整するときは「現場にない色は使わない」というルールを決めている。
例えば、夕日の色がきれいだと感動して撮影した場合、撮影現場の黄色やオレンジ色を多少強調することがあっても、現像ソフトで他の色へ変えることはしないということだ。
「色を足す」という考えでいると、撮影現場にない色まで入ってきてしまう可能性がある。
そのため筆者は「色を引き出す」という考え方でデータを扱っている。
そうすれば、元々ある色がベースとなり、現場になかった色がまざることはない。
色に感動して撮影するときのカメラの設定は、仕上がり設定が「風景モード」、ホワイトバランスは「太陽光」で撮ることが多い。
現像ではコントラストと彩度を調整することが多いが、元の色+10%くらいで考えている。
慣れるまでは仕上がり設定の「スタンダード」で撮った色と、調整したあとの色とを比較してみるとよいだろう。

Section 19
現場の光源と色温度を把握して撮る

被写体の色を正確に再現したければ、撮影現場の光源に含ったホワイトバランスを設定することが重要だ。
そうすれば、白いものは白く、青いものは青く、あるがままの色で彗写される。
太陽光と白熱灯が混ざるようなミックス光のときは、オートホワイトパランスで撮影しよう。
被写体だけでなく、光源が何かを観察することがポイントとなる。

現場の光の色を読めるようになる

RAWで撮影すればあとから何とでもなると思っていると、撮影現場での光に対する感性、観察力が身につかない。
朝から夜までの光の変化や撮影場所の光源は何かを意識して、ホワイトパランスを設定したい。
カメラにはあらかじめ、光源ごとの色温度に合わせたメニューが輸っているので、現場の光源と色温度を把握してから撮影しよう。
作例はすべて太陽光モードで撮影したものだ。

■ 太陽の光
太陽光を光源とした風景の場合、ホワイトバランスは太陽光モードで撮影しよう。
見た目と同じ色で写真が再現される。
色温度は5500K(ケルビン)だ。

■ 曇天(どんてん)の光
曇天の光を太陽光モードで撮影すると、曇天は色温度が高い(6500K)ため青味が強くなる。
曇天モードで撮ると被写体そのままの色になる。

■ 晴天時の日陰の光
晴れている日の建物の陰は、暑天の光よりも色温度が高い(8000K)。
太陽光モードで撮影すると、曇天よりもさらに青味が強くなる。
日陰モードで撮ると、被|写体そのものの色が再現される。

■ 白熱灯の光
街灯や室内灯など、黄色い白熱灯の光は、色温度が低い(3200〜3400K)—**曇ると、黄色が強くなる。
白熱灯モドで撮影すると、被写体そのものの色が再現される。

■ 蛍光灯の光
一般家庭や町の食堂など、(白色)蛍光灯の光は色温度が低い(4000~4200K)。
太陽光モードで撮影すると、黄色がやや強くなる。
蛍光灯モードで撮影すると、被写体そのものの色が再現される。

■ ミックス光
白熱灯と窓からの外光がまざっているミックス光を太陽光モードで撮影した。
女の子の背後と写真の左輌が黄色くなった(石帽にいくほど黄色は減っている)。
光源がわからないときは、オ-トで撮影してみよう。

Section 20
撮影状況に応じたフラッシュ活用術

内蔵フラッシュで撮ると、被写体の後ろに影が出やすい。
発光部に丸めたトレーシングペーパーなどをつけて、光を拡散しよう。
外部フラッシュを使うと、壁や天井へのバウンス光で自然な描写が可能になる。
暗いときは調光補正をプラスに、キャッチアイを入れたいときはシートを出し、光をまわすときはディフューザーを使って撮影しよう。

フラッシュは不自然な影が出ないようにする

フラッシュは大きく分けて、カメラに内蔵されている内蔵フラッシュと外部フラッシュの2種類がある。
内蔵フラッシュはコンパクトで、使いたいときにすぐに使えるのがメリットだ。
ただし、カメラ位置から発光されるので被写体の立体感が弱くなり、被写体の背後に壁が近い場合などは影が出やすい。
トレーシングペーパーなどでフラッシュを包んであげると、光が拡散して多少やわらかい光になり、影が減少する。
一方、外部フラッシュは光量が強力で、カメラ位置から光の向きを変えることができる。
カメラから離しての自由なライティングも可能だ。
光の向きを変えて天井や壁に当てた光をバウンス光といい、被写体を自然に見せる効果がある。
フラッシュで撮影しても被写体が暗いときは、調光補正でプラス補正をしよう。
人物の目に光を入れたいとき(キャッチアイ)は、フラッシュの発光部から白いシートを取り出して撮影するとよい。
広角レンズで撮るときは光が広く拡散するように、発光部からディフューザーを出して光をまわそう。

Section 21
バウンスでフラッシュの光をなめらかにする

フラッシュで被写体を自然に捉えたいときはバウンス光を活用しよう。
天井バウンスは、日常で見慣れた光を作り出すため、被写体を自然に描写できる。
壁バウンスは、横からの反射光により被写体を立体的に描写する。
ポイントは、天井と壁の色が白色であることだ。
距離が近いとコントラストが強くなり、離れると光がまわりやわらかくなる。

天井や壁を利用して自然な光に

内蔵フラッシュで被写体に直接光を当てると、影が出たり、不自然な写真になることが多い。
外部フラッシュがあれば、光の方向を自由に変えて、バウンスと呼ばれる撮影が可能になる。
バウンスには、壁に光を飛ばす壁バウンス、天井に飛ばす天井バウンスなどがあり、間接的に光を飛ばすことで、直接光よりもやわらかく自然なイメージを表現できる。
天井バウンスは、上からの光となる。
太陽や、家の中でも電気は上についていることが多いので、人の目にも自然に見える光といえる。
天井バウンスの光をより自然に見せるためには、被写体から少し離れて、光を斜め前の天井へ向けて飛ばすとよいだろう。
壁バウンスは、窓から光が差し込むサイド光や斜光のような役割で、被写体を立体的に表現してくれる。
天井でも壁でも、色がついているとその色の影響で光にも色がかぶってくるので注意しよう。
壁の色は白がベストだが、ない場合は白いに近い色の壁を探そう。
白い壁がないときは白い服を着ている人にたってもらったり、白いバスタオルを壁に見立てたりして、光を回すことがある。
壁という言葉にとらわれず、白いものへバウンスさせるということを覚えておきたい。

Section 22
フレーミングは周辺の要素に気を配る

フレーミングの第一歩は、被写体の観察から始まる。
被写体をフレーミングしたら、余計なものが写っていないか確認する。
写っていたら、ズームだけでなく、被写体に近づいたり離れたり、身体を使ってフレーミングしよう。
近寄って広角で撮ったり、離れて中〜望遠で撮るなどの方法で、余計なものが写らないようにすることもできる。

大切なのはスームワーク + 身体の動き

ここではフレーミングの話をしよう。
魅力的な被写体を中央に置いて、深く考えずに一枚シャッターを切った。
液晶モニターで確認したところ、まわりに余計なものまで写り込み、ごちゃごちやしていてがっかりした。
そんな経験はないだろうか。
ここでも「観察」が撮影の第一歩だ。
観察といっても、何十秒も何分も見ていたら、シャッターチャンスを逃してしまうかもしれない。
レンズの選択、絞り値の決定などを同時に行いながら、フアインダーの四隅に目を配り、余計なものが入っていないか確認しよう。
広角寄りのレンズで周辺に不要なものが入ってきたら、焦点距離を変えるだけでなく、被写体に近づいたり離れたりして、身体を使ってフレーミングしよう。
P74左の作例では、広角寄りの焦点距離で横位置で撮影したところ、他の建物や街灯が入って、主題が何かわからなくなってしまった。
不要な要素を取り除くために標準寄りの焦点距離にし、そのままの位置だとメインの建物が入りきらないので自分の身体を後ろに移動させ、縦位置で撮影した。
被写体に近づいて広角で撮るか、被写体から離れて望遠で撮るか、フレーミングは「ズームワーク+身体の動き」で解決しよう。

Section 23
目線の高さを変えて奥行き・広がりを撮影する

写真にマンネリを感じたら、目線の高さを変えて撮影しよう。
奥行きや空間の広がりを表現しやすい。
脚立で2〜3段上がるだけでも、新鮮な光景が広がってくる。
さらに飛行機や高層ビルなどの高い位置から、斜傭歌や真傭瞭で撮影すると、日常では見えない図形的な風景の表情を切り取ることもできる。

俯瞰や真俯瞰でマンネリを打破

俯瞰(ふかん)「高いところから見下ろす」
真俯瞰(まふかん)

撮影するときに、カメラをどのくらいの高さで構えているだろうか?身長170センチの方であれば、ほぼ155センチの目の高さで見ている時間が圧倒的に長く、目の高さが定位置といえるだろう。
この当たり前の高さから離れることで、新鮮な視点で被写体を見ることができる。
脚立で2〜3段高いところや高層ビル、飛行機などの乗物を利用すれば、日常の視点を離れて高い位置から見ることができるので、違う景色が見えてくるのだ。
低い位置から撮影すると、足元に近いところから写真に写ってくるので、空間的な広がりを表現しやすくなる。
反対に高い位置から撮影すると、地面の面積が多くなり、今まで見えていなかった風景が広がってくる。
真俯瞰では、図形的な切り取り方も面白いだろう。
写真がマンネリになってきたなと感じたら、ぜひ目線の高さを変えてバリエーション豊かに撮影してみてほしい。
筆者の体験としては、低い目線や俯瞰の写真は人の目を引きつける率が高いということを、ここでこっそりお伝えしておきたい。
しゃがんだり、登ったりする気分になっていただけたら幸いだ。

Section 24
評価測光と露出補正の併用を基本に撮影する

代表的な測光方式には3つの種類がある。
評価測光は、逆光を含む一般的なシーンに適している。
中央部重点測光は、主題となる被写体がファインダー中央部にあるときに有効だ。
スポット測光は被写体の特定部分、特に白飛びしやすい場所、黒演れしやすい場所が主題のときにおすすめだ。
測光に露出補正を組み合わせて撮影しよう。

評価測光 + 露出補正を基本にする

多くの一眼レフカメラには、写真を適切な明るさで写すために、自動で被写体や被写体周辺の光の量を計算してくれる測光機能が内蔵されている。
まずは、代表的な測光方式(光の量の測り方)と、それに適したシーンをまとめてみたい。

① 評価測光は、逆光を含む一般的な撮影シーンに適している。
露出はカメラが自動補正する。

② 中央部重点測光は、ファインダー中央部に重点を置いて画面全体を平均的に測光する。
被写体の主題がファインダーの中央にあるときに有効だ。

③ スポット測光は、被写体の特定の部分を測光するときに使うとよい。

筆者は、ほぼすべての被写体を評価測光で撮影することが多い。
その上で露出補正によって明るさを調整し、逆光のシーンでは、AEロックで主題となる被写体を測光している。
スポット測光は、滝を撮影するときなどコントラストの高いシーンで使うくらいだ。
気軽に撮りたい方には、評価測光と露出補正の併用をおすすめしたい。

Section 25
水平・垂直を正確に-合わせる4つの方法

水平や垂直のある被写体を撮影するときは、撮影前に水平と垂直がとれているかを確認しよう。
方法は、「三脚でカメラを固定する」「水準器で水平を確認する」「カメラのファインダーでグリッド線を使う」「液晶モニターで確認する」がある。
広角レンズで撮影するときは、歪曲収差で線が曲がる場合があるので、レンズ特性を確認しよう。

撮影前は水平・垂直の角度を確認する

P.62で取り上げた「線」で被写体を見るというポイントについて、ここではもう一歩踏み込んで考えてみたい。
水平線や地平線、高層ビルなど、線や垂直の角度を感じさせる被写体を撮影するときは、角度が傾いて写らないように注意しよう。
被写体そのものに水平や垂直のラインがあるにもかかわらず、傾いていると写真に緊張感がなくなり、軽く撮ったような印象を与えてしまう。
水平・垂直を合わせるには、次のような方法がある。

① 三脚でカメラを固定する

② カメラ内蔵の水準器、外部水準器、水準器アプリで水平を確認する(筆者は水準器アプリを愛用)

③ カメラ内のファインダーをグリッド線表示にして水平・垂直を直感的に確認する

液晶モニターをグリッド線表示にして水平・垂直を確認し、ピントを合わせたい場所を拡大して詳細なピント合わせをする。

これらを組み合わせれば、水平・垂直のとれた、美しい写真が撮れるだろう。
さらに広角レンズをよく使う方は、周辺の歪曲収差がないか確認しよう。
レンズによっては水平・垂直を合わせて撮影しても線が曲がる場合があるので注意したい。

Section 26
ピントは液晶モニターを拡大して詳細に確認する

ピントは液晶モニターを拡大して確認しよう。
ファインダーでは確認しきれない細部まで確認することが可能だ。
液晶モニターを使うと、露出の確認もかんたんだ。
暗い場所では一時的にプラス補正することで、ピント合わせがより容易になる。
撮影時には、ピントを合わせるために明るくしていたプラス補正を適正な数値へ戻すことをお忘れなく。

暗い場所でのピント確認にはプラス補正を

三脚をたててじっくり向き合う被写体の場合、ピントの確認は液晶モニターが便利だ。
フアインダーよりも大きな画面に被写体を拡大表示して、細かなピントの確認をすることができる。
また液晶モニターでは、ピントの確認だけでなく露出のシミュレーションも可能だ。
この露出シミュレーションは、暗い場所でピントの確認をするときにも重宝する。
暗い場所だと被写体にピントが合っているか確認しづらいので、一時的にプラス補正にして画面が明るくなったところで、ピントを確認する。
ピントが合っていることを確認したら、ピントはそのままで適正な露出へ戻して撮影すればよい。
撮影後は、液晶モニターを拡大して、意図した箇所にピントが合っているか、風や振動によるぶれがないかを確認するとよい。
気をつけたいポイントは、液晶モニターを利用するとバッテリーが早く減ってしまうことだ。
晩秋〜冬〜初春にかけては、寒い時間帯も多く、特に消耗が早いので注意が必要だ。
数日間に渡るようなロケ撮影の場合は、予備の充電池や充電器を必ず持っていくようにしたい。

Section 27
撮影直後に確認するべき4つのポイント

撮影後には、液晶モニターでヒストグラムを表示して、白飛びと黒潰れがないかをチェックしよう。
また、主題となる被写体を拡大表示して、思い通りの露出で撮れているかをしっかりと確認する。
同時にぶれとボケの有無、水平・垂直も見極めたい。
白飛びと黒潰れはあとからの画像処理でも救えないので、特に注意が必要だ。

撮影後に液晶モニターで確認するべきこと

デジタルカメラの最大のメリットの1つは、撮影直後に写真を
チェックできることだ。
RAWで撮影すれば、あとから補正できる要素もあるが、撮影時に撮り損なうと取り返しがつかない不
ポイントもいくつかある。
撮影時に少しだけ気をつければ後処理も楽になり、時間もかからない。
ここでは、撮影した直後に液晶モニターで確認しておきたい4つのポイントをあげてみよう。

① 白飛びの確認。
ハイライトを飛ばしてしまうとデジタルデータがなくなるので、あとで暗くしようと思っても暗くならない。
白飛び警告表示をONにしておこう。
白飛びだけでなく、黒潰れもあとからの処理で救えないので、液晶モニターでヒストグラムをチェックしよう。

② ボケとぶれの確認。
フォーカスの位置がずれて被写体がぼけてしまったり、三脚を使用していても風や振動でぶれることがある。
液晶モニターを拡大して確認しよう。

③ 露出の確認。
①で白飛びと黒潰れを確認したが、一番気になるのは、メインとなる被写体が意図した通りの露出で再現されているかどうかだ。
色や影の見え方などを確認しよう。

④ 水平・垂直の確認。
これは後処理である程度の修正が可能だが、撮影した画角からトリミングすることになるので、撮影時点で解決しておきたい。

Column
車はコンパクトのほうが気軽に撮影に臨める

撮影に出かける際の車は、どこにでも停めやすく、車の盗難で力メラ機材ごと被害にあうことを防ぐため、目立たないコンパクトカーを愛用している。
後部の窓はスモークガラスだが、山に登るなど長時間車を離れるときは、外からスーツケースなどが見えないように暗めの布で機材を覆ってから出発している。

撮影時間によっては、車内で仮眠をとることもよくある。
筆者の身長は171センチであるため、後部座席を折り畳み、クッションと寝袋を準備すれば、仮眠をとるのに十分なスペースを作ることができる。
少々狭さは感じるが、夜や早朝など、ぐっすり眠っていては撮れなくなる被写体を狙っているので、「ちよっと寝にくいな」と感じるくらいがちょうどよいのだ。

冬はスノータイヤに履き替えて北国へ向かう。
小さい車は東京近郊で撮影するときにも気が楽だ。

Chapter 3
シーン&被写体別 撮影テクニックを知る

Section 01
色がきれいな被写体は–風景モードで撮影する

仕上がり設定を風景モードに設定して撮影すると、晴天の風景を、さらに色鮮やかに表現してくれる。
空気が霞んでいるときや、曇天や雨天で色が鮮やかに見えないときでも、本来そこにある色をきれいに再現してくれる。
風景の撮影だけ
でなく、身のまわりの色がきれいな被写体を撮影するときにも便利だ。
色を鮮やかに再現するモードとして活用しよう。

風景に限らず幅広く使える風景モード

風景写真は、例え晴れている日であっても、水蒸気などで色がはっきり見えないときがある。
また、雨や曇天では、そもそも鮮やかな色で撮影することが難しい。
天候のせいで思うように撮影ができず、がっかりした経験がある方も多いだろう。
しかし、今見ている光景は、山の緑や空の青さが失われているわけではなく、光の状態や空気の霞でそう見えているだけだ。
つまり、本質的な美しい色彩はそこに眠っているのだと考えることができる。
カメラの仕上がり設定には色の彩度を上げる風景モードがあり、目で見たよりも色鮮やかに撮影することができる。
この風景モードの色を、見た目と違うからと違和感を覚える方もいるだろうが、「人工的に色を作り出すのではなく、もともと自然の中にある色を引き出す機能」と考えてみてはいかがだろう。
筆者は、天候に限らず、色に感動するシーンでは仕上がり設定を風景モードにすることを心がけている。
また、風景モードという名前がついているが、色がきれいな自転車やお菓子などを撮影するシーンでも使えるので、色を鮮やかに描写してくれるモードとして覚えておくと便利だろう。

Section 02
滝のしぶきを高速シャツターで表現

滝のしぶきを描写したいときは、シャッター速度優先モードで1/500〜1/2000の高速シャッターで撮影しよう。
絞りを深くしてピントを全体的に合わせたければ、ISO感度を上げて絞りを深く(絞り値の数値を大きく)するとよい。
反対に滝をなめらかに描写するときは、三脚を使用してスローシャッターで撮影しよう。

滝を美しく表現する2つの方法

流れる滝を撮影する方法は大きく分けて2つある。
1つは滝の流れを止めて、水しぶきや滝の一瞬の迫力を表現する方法。
もう1つは、滝の流れをスローシャッターでなめらかに表現する方法だ。
滝の流れを止めて描写するには、シャッター速度を上げると同時にISO感度のコントロールで絞りを調整したい。
滝の流れは一様ではないので、シャッター速度は、おおよその目安として1/500~1/2000秒と覚えておこう。
撮影モードは、シャッター速度優先モードが使いやすい。
この際、絞り値は任意のものとなるが、被写界深度を深くしてピントを全体的に合わせたいときは、ISO感度を上げて、絞り値が大きくなるよう設定しよう。
P.90の作例では、ISO感度を25600まで上げてF13で撮影してみた。
最近のデジタル一眼レフは超高感度でもノイズが少なくなってきているので、暗いシーンでも諦めずに撮影を楽しもう。
一方、滝をなめらかに撮影したい場合は低速シャッターとなるので、三脚が必須となる。
滝周辺は足元が悪い場所が多いので、筆者は三脚を使うと同時にレリーズとミラーアップ撮影(P.21参照)を併用して、ぶれ防止を心がけている。
その際、シャッター速度が遅いほど、滝の描写がなめらかになるが、まずは1秒前後を目安に練習してみよう。

Section 03
海の表情を低速シャッターでなめらかに写し込む

日中の海の表情をなめらかに表現するには、NDフイルターを使用して低速シャッター撮影をしよう。
NDフィルターは、特に夏場は光量があるため、減光効果の高いものを用意したい。
PLフィルターを併用すれば、海面の反射を迎えてコントラストの向上も可能だ。
フィルターを重ねる際は、四隅のケラレ(P59)にも注意しよう。

光量を減らすNDフィルターを活用する

海の撮影では通常、フィルターなしでオートで撮影すると、シャッター速度は1/60~1/125の常用スピードとなり、波打ち際の写真は、目で見たのと同じような普通の海が描写される。
そこで、海の表情や波の動きをなめらかに捉えるためには、三脚にカメラを設置して、レンズにNDフィルターをつけてレンズを通る光の量を減らす。
その上で、低速シャッターにして撮影しよう。
NDフィルターは光を少しだけ遮るものからたくさん遮るものまで段階的にラインナップされており、ND4、ND8などの数値によって効果の度合いが異なる。
P.92の作例ではND16という4段分の補正効果のあるNDフィルターを使用し、さらにコントラストを上げるためにPLフィルターを二重につけて、低速シャッターとコントラストアップという2つの効果で海をなめらかに表現している。
ISO感度を低く設定して、絞りを深くするほどシャッター速度は落ちるので、1〜4秒くらいを目安にしてフィルターを選択しよう。
また、海辺での三脚は風などでぶれやすいので、足場にも注意が必要だ。
フィルターを重ねる際は、四隅の光がケラれて黒くなっていないかも合わせて確認しよう。

Section 04
湖の写り込みを活かしてシンメトリーを狙う

湖などの水面を活かして、シンメトリー(対称)な構図を狙うには、まず水面が凪(なぎ)の状態であることが条件だ。
その条件がクリアされていたら、カメラを水面近くの低い位置に設置して、空間の奥行きを表現しよう。
水平はグリッド線表示で確認する。
ファインダーの隅々に余計な被写体が入っていないかを確認してレンズの焦点距離を決めよう。

シンメトリーは水面が凪の時間帯に写す

シンメトリーな写真を狙うには、湖や池が凪の状態で水面が静まり、鏡のような状態になっていることが条件だ。
凪は朝と晩に多いので、その時間帯を狙うとよいだろう。
どちらかというと、これから明るくなってくる朝のほうが撮影がしやすい。
水面が凪の状態であることを確認したら、次にカメラ位置を考えよう。
無造作にカメラを置くと、画面の隅に建物などの余計なものが入っていたり、カメラに近い木の枝などが写り込んだりして、美しい構図の妨げとなる。
P.94の作例では湖畔ギリギリのところまで近づき、カメラ位置は地面に近い、低いポジションをとった。
カメラ位置が低くなると手前の水面から写るので、たったまま撮影するよりも奥行きや広がりが表現されやすい。
焦点距離は、標準に近い33mmを選んでいる。
これは、それより広角寄りの焦点距離で撮影すると、湖面に浮かぶ観光用のボートなどが入ってきてしまうためだ。
シンメトリーは水平線が大事なので、カメラは三脚で安定させて、ファインダーのグリッド線表示などで水平をきちんと確認しよう。
撮影時に水面が波立ってきた場合は、NDフィルターを使用して長秒撮影をすると、水面が凪の状態のように描写することができる。

Section 05
MFとプラス補正で桜を美しく撮る

桜は白色に近いピンクなので、単色が苦手なAFが機能しない場合がある。
このようなときはフォーカスをMFで撮影しよう。
MFに慣れていない場合は、三脚を使用してライブビューでピントを確認する。
三脚が使えない場面では、両手と頭の三点でカメラをしっかりホールドする。
露出はプラス補正で、+0.7 〜 +1.3を目安に明るく撮影しよう。

フラス補正で桜の色味を再現する

桜のひとつひとつの花びらは、白に近い薄いピンク色をしている。
AFは単色の被写体では合焦が遅れたり、意図した箇所にピントが合わない場合がある。
そのようなときはAFでおおよそのピントを合わせてから、フォーカスモードをマニュアルフォーカス(MF)に切り替えて撮影しよう(P42参照)。
レンズによってはAFでピントを合わせたあと、フォーカススイッチをMFに切り替えることなく、そのままMFでピントの微調整ができるものもあるので、ご使用のレンズを確認してほしい。
また、MFは慣れていないからピントが合うか不安だという方は、三脚とライブビュー機能の併用をおすすめする。
ライブビューでは液晶モニターの表示を拡大してピントを確認できるので、安心だ。
次のポイントは露出補正だ。
桜はほぼ白色なので、補正なしで撮るとグレーに近い色となる。
桜を撮影するときはプラス補正(+0.7 〜 +1.3)で、白色を表現しよう。
お花見など三脚を使えない撮影場所では、手持ちの撮影となる。
そのときは手ぶれ防止のため、右手、左手、頭の三点でカメラをしっかりホールドしよう。
手ぶれ防止の目安となるシャッター速度は「1/焦点距離」である。

Section 06
色や光のバランスを考えて紅葉を撮る

紅葉は人気の撮影シーンだが、それゆえ画一的な写真になりやすい。
自分の感動を表現するためには、あらためて紅葉を「色」「形」「線」「光」の4つの要素で捉えなおしてみよう。
主題を浮きたたせるには、絞りを開放寄りにして背景をぼかすことと、同じ系統の色が背景に来ないようにするということを意識しよう。

背景や主題のバランスを考えて構成する

紅葉を撮るときには、背景や主題となる被写体の「色」「形」「線」「光」のバランスを考えて画面を構成してみよう。
P.98の作例は、どしやぶりの雨の合間に撮影した曇天でのカットだ。
まず、中央のもみじを主題として考えてみよう。
背景にある同系色の色とかぶらない高さを意識して、背景が緑になるようにカメラ位置を決定する。
望遠ズームの焦点距離は200mmで、絞りはF8だ。
背景をぼかしながらも、木々の存在感を残すことと、色をやわらかに表現することを狙った。
焦点距離が短い場合は、F8では背景のピントがはっきりしてしまう。
その場合はF5.6など開放へ近づけて、背景のボケをコントロールするとよい。
紅葉というと、観光パンフレットのようなコンディションのよい赤い美しい葉を期待してしまうが、自然の中にある葉は、虫に食われていたり、その年の気温変化などによって、色の見え方にもばらつきがある。
このありのままの姿をよしとして撮影する場合もあれば、寄りの写真がきついなというときは引いたところから、色の塊として捉える場合もある。
ちなみに、筆者は紅葉撮影では薄曇りがベストだと思っている。
紅葉の色を重視する場合、晴天のときよりは、薄曇りの天候のほうが葉の反射も迎えられて、色が美しく描写されるのだ。

Section 07
街風景の活き活きとした表情をぶれで表現する

街の風景を撮るときには、歩行者をぶらして撮影すると、動的なイメージを表現できる。
三脚を使用して、シャッター速度は「1/15秒より遅く」と覚えておこう。
露出はプラス補正して、全体的に露出オーバーで撮影すると近未来的な表現が可能だ。
その場合は、液晶モニターでヒストグラムを確認して、白飛びを確認するのがポイントとなる。

スローシャッターで街の動きを描写

写真の本質は「時間と光」である。
ここでは、時間に関しては「シャッター速度のコントロール」で、光に関しては「露出補正」で街風景の表情を捉えてみよう。
まずシャッター速度だが、P.100の作例は三脚を使用して、1/15秒で撮影している。
1/15秒は、歩く人がぶれて、動的に描写されつつ、表情もぎりぎりわかるくらいのスピードだ。
これより遅くなると細部は完全に見えなくなり、P.101下の作例のように帯のような描写となる。
次の光に関しては、「露出補正」を+1.7に設定して明るく撮影している。
これは、いわゆる露出オーバーの状態だが、見慣れた風景でもどこか近未来的な、夢の中のようなイメージを作り出してくれる。
露出補正の度合いについては、画面の一番明るい部分が白飛びするとその部分のデータが失われてしまう。
そこで撮影現場で試し撮りをして、カメラの液晶モニターでヒストグラムを確認しよう。
そうすれば、白飛びしない、ぎりぎりまでのプラス補正が可能となる。
また動いているイメージは、写真の中に静止している部分があるとより伝わりやすい。
作例では絞りを絞ることで、信号機などの静止物の描写にも気を配っている。

Section 08
都市風景を望遠レンズでデザイン的に捉える

都市風景を「線」「色」「形」を意識して捉えてみよう。
そこに「太陽光」や他のビルからの「反射光」をスパイスとして味つけをすると、さらに完成度が高まる。
レンズは望遠で切り取ると、抽象的でスケール感のわからない、不思
議な写真を撮りやすい。
慣れてきたらマクロや広角で撮影したり、角度を変えて斜めに撮るのも面白い。

望遠ズームで都市の一部を切り取る

見慣れた街の風景を、新鮮な気持ちで写真に撮るにはどうしたらよいだろう?ここでは望遠レンズで一部を切り取り、街の表情をデザイン的に捉えてみたい。
そのためには、「スカイツリー」、「都庁」「ビル」などと被写体を名前で捉えるのではなく「線」、|「色」、「形」、「光」を意識して被写体に向き合うことでイメージが見えてくる。
P.102の作例は、新宿の高層ビルに映り込んだ他のビルを望遠ズーム200mmで斜めに撮影したものだ。
そこにスパイスとして太陽光が差し込み、抽象的なイメージがたち上がった。
ここでは建物の線、映り込んだ空の色、都会的なビルの形状、そして、太陽光という要素を意識的に取り込んでいる。
言葉にすると具体的だが、写真では抽象的で一瞬何だかわからないような、鑑賞者を魅了する効果が期待できる。
また望遠レンズの面白さとして、切り取ることで被写体のスケール感がわからなくなり、抽象的で不思議な印象を与えやすいということを覚えておこう。
望遠レンズで撮り慣れたら、P.103下の作例のように、マクロレンズや広角レンズを使ったデザイン的な切り取り方も試してみてほしい。

Section 09
古い建物は質感を活かして撮影する

古い建物を撮影するときは、被写体の質感に着目しよう。
質感を表現するには、光の状態に気を配ることが大切だ。
おすすめはサイド光や斜光で、そのような光の状態であれば、メインの被写体を立体的に浮きたたせることが可能となる。
また、古くて暗い雰囲気を表現したいときは、露出をマイナス補正で撮影すると、その雰囲気が写真に表現される。

露出補正と光の方向で質感を出す

古い日本家屋や室内空間を撮影するときに注目したいのが、被写体の質感だ。
被写体の表面に刻まれた傷や退色した色は、長い時の流れを表している。

P.104の作例は、古い屋敷の中で撮影した写真だ。
このような暗い場所での撮影は、露出に注意が必要だ。
屋内の暗い障子でAEロックをして撮影したところ、暗い部分が明るくなりすぎた。
部屋の雰囲気が再現されなかったため、マイナス補正している。
その結果、暗い部分は見た目に近い暗さに落ち着いている。
このように暗い場所だったり、黒に近い色を基調としている場合は、普通に撮ると明るくなってしまう。
雰囲気を表現したいときは、マイナス補正で黒が黒になるように調整しよう。
また、質感を表現したいときの光は、サイド光や斜光が写真に立体感が出るのでおすすめだ。
P.104の作例では左側からサイド光が入り、光のグラデーションで室内の質感が浮き上がって見える。
障子の真ん中から入ってくる光は間接光だが、やわらかな逆光の役割で、被写体に明暗のコントラストを与えていることがわかる。
よく注意して見ると、歴史を感じる建物は多いものだ。
古くて魅力的な被写体を見つけたら、露出補正と光の方向性を意識して、質感が出る写真にトライしてみよう。

Section 10
屋外ボートレートは光の向きで演出する

屋外ボートレートは、光の向きを確認して撮影しよう。
光の向きは大きく分けて3種類ある。
逆光の場合はプラス補正で被写体を明るく撮影する。
逆光で発生しやすいフレアやゴーストは、写真の効果と捉えて光の溢れるイメージに仕上げよう。
順光は、集合写真などの記録撮影に向いている。
斜光は自然な立体的を演出してくれる光だ。

人物への光の向きと種類を判断する

人物撮影は、光の使い方で仕上がりの印象がまったく違う写真になる。
人物撮影ではどうしても被写体に気を取られてしまいがちだが、魅力的な写真に仕上げるためには、被写体に当たる光の向き、光の種類を判断することが重要だ(P.44〜45参照)。
逆光で人物を撮ると、やわらかな光に包まれたようなイメージに仕上げることができる。
逆光での撮影は、被写体が暗く写るのでプラス補正が必要となる。
フレアやゴーストは失敗写真に分類されることも多いが、表現手法の1つと考えれば、必ずしも失敗とはいい切れない。
旅先の家族の集合写真などは、記録写真としての側面があるため、光は斜光や順光での撮影が適している。
斜光は被写体を立体的に見せてくれるので、自然な印象を与えるメリットがある。
屋外で人物を撮るときの留意点のひとつとして、補助的な反射光についても気にしたい。
ポイントは地面の明るさだ。
明るい地面の上で撮れば、レフ板と同じ効果で肌のしわもうすくなり、若々しく見える。
白などの明るい壁がある場所も光がまわるので、光線による影が薄まる効果がある。

Section 11
室内ボートレートは光源が何かを意識する

室内でのポートレート撮影で、背景が暗くなるときは、三脚を使ってスローシンクロで撮影すると背景も明るく写る。
シャッター速度が遅くなるので被写体に動かないよう協力してもらおう。
スタジオではフラッシュをコントールできるので、人物の露出を決めて、背景を1段程明るめに撮影すると、明るい奏やかな印象の写真になる。

スローシンクロで明るく仕上げる

室内でポートレートを撮る場合には、光源に目を配りたい。
「窓が何ヶ所あるのか」「光がどの方向から入ってきているのか」「室内灯は蛍光灯か白熱灯か」などを確認しよう。
環境光(その場所の光)だけでは暗い場合、フラッシュを使用するとよい。
普通にフラッシュを当てて撮ると、P.109の上の作例のように被写体だけが明るくなり、背景まで光が届かないで暗くなってしまうことがある。
そこで三脚を使用してスローシンクロで撮影すると、P.109の下の作例のように背景まで明るく写る。
スローシンクロの撮影方法は、三脚にカメラを設置して被写体にピントを合わせ、スローシャッターを切るだけだ。
注意点は絞り優先でシャッター速度を遅く切っているので、事前に被写体に動かないようにお願いしておくことだ。
撮影会などスタジオ機材が揃っている場合は、大型のフラッシュで人物と背景の両方を明るくすることがかんたんにできる。
P108の作例は人物へ1灯、背景に2灯使っている。
人物をやわらかく浮き上がらせるために被写界深度は浅めのF5.6に設定。
ライティングは人物への光をメイン光として最初に設定し、背景は人物の光より絞り1段分明るくして炎やかな雰囲気を演出している。

Section 12
相手を待たせないための撮影準備6つのボイント

スタジオ撮影では、事前の準備が整っているほど、最後までスムーズに撮影を進めることができる。
撮影機材のセツティング、カメラの設定、パソコンの設定を、モデルが来る前に素早く準備しよう。
撮影中はゆったりとした気持ちで被写体にリラックスしてもらえるよう、かける言葉を準備しておこう。

スタジオ撮影の良し悪しは準備で決まる

スタジオなどの室内で撮影する場合、撮影の良し悪しの80%は準備で決まるといっても大げさではない。
被写体となるモデルが来る前に、撮影者が準備しておくべき6つのことをあげてみたい。

① 背景紙の設置
② ライト・スタンドの電源コードを足がひっかからないように設置
③ モデルのたち位置で露出を測る。
背景紙の露出も測る
④ 露出を元にISO感度と絞り、シャッター速度の調整、仕上がり設定を行っておく。
ISOは100〜200くらい、シャッター速度と絞りは1/125、F5.6-8くらいを基本にする
⑤ 全身を撮るときのレンズとバストアップを撮るときのレンズをそれぞれ用意して並べておく
⑥ メモリーカードやパソコンの接続チェックなど。

モデルが来てから設定していては時間がもったいないので、どのような写真を仕上げたいのか、何枚必要かなどを事前に決めておく。
撮影現場では予想しないトラブルが起きるので、モデルやスタッフに緊張感を与えないようにするために、ゆったりとした気持ちでいることも大事だ。
人物を撮るときには自分が撮られる気持ちになって、どのような言葉をかけてもらえばリラックスできるか、あらかじめ準備しておこう。

Section 13
ノーファインダー撮影で偶然の瞬間を写し込む

ノーファインダー撮影とは、カメラのファインダーを調かずに被写体を肉眼で観察しながら撮影する方法だ。
被写体が撮られていることを意識しないので、自由な撮影ができる。
下からのアオリや頭上からのアングルなど、日常を非日常に変えてくれる、楽しい撮影方法だ。
最初は被写体を捉えやすい広角レンズで練習しよう。

ペットや子どもの撮影におすすめ

ノーファインダー撮影とは、ファインダーから目を離し、被写体を肉眼で見ながら撮影する方法のことだ。
具体的には、カメラの位置を低くして下からアオったり、カメラを持った手を上に伸ばして撮影する。
また、子どもやペットと一緒に走りながら撮影するときにも有効な撮影方法だ。
ファインダーを調き込まないので、被写体が撮られていることを意識せず、リラックスしている様子を狙うこともできる。
見慣れたペットや子どもの意外な表情が楽しめるだろう。
慣れるまでは、レンズは被写体を捉える範囲が広い広角系のレンズで練習してみよう。
ペットや子どもを撮影するときは被写体の動きが予想しにくいので、ファインダーを調いているとシャッターチャンスを逃す場合がある。
その場合は、ノーフアインダーで連写してみるとよい。
カメラの設定は、AFモードは静止型もしくは中間型、AFエリアは不規則対応型エリアがおすすめだ。
ISO400でシャッター速度優先モード、数値は最低1/125秒に設定し、ぶれすぎだと感じたらシャッター速度を上げてみよう。

Section 14
動く動物は1/500秒を目安に動きを捉える

動く動物を撮るときは、シャッター速度優先モードで1/500秒以上を目安にして撮影しよう。
そうすれば、動物の動きを止めて表現できる。
連写モードを併用すると、ー瞬の動きを逃さない。
暗い場合はISO感度を上げてシャッター速度を確保しよう。
屋外ではISO1600、屋内ではISO3200を目安にするとよい。

連写モードで瞬間の動きを確実に捉える

動く動物を撮るときは、じっくりと観察して、特徴的な一瞬を捉えたい。
カメラはシャッター速度優先モードで、1/500秒以上の速さに設定しておこう。
動物は動きの予測ができないので、AFモードは不規則対応型、AFエリアは不規則対応型エリアに設定する。
水族館や動物園の屋内で撮るときは、シャッター速度が遅くなる場合があるので、ISO感度を上げてシャッター速度を確保しよう。
筆者は屋外はISO1600以下、屋内はISO3200以下を目安にしている。
シャッター速度を速くしたまま絞りを深くして撮影したいときも、ISO感度を上げて対応しよう。
シャッターは連写モードに設定して、劇的な一瞬を逃さずに捉えたい。
P.114の作例は、比較的動きの予測がしやすいカンガルーだ。
一番ジャンプの高いタイミングを捉えようと、シャッター速度は1/800秒で連写モードで撮影した。
近づくと逃げていく動物が圧倒的に多いので、望遠ズームレンズを用意して出かけたい。
狙っている動物が事前に決まっているときは、その動物の性質を学んでおくと撮りやすいだろう。

Section 15
動物園では望遠 + 絞り開放で人工物を消す

動物園で人工物を入れずに撮るには、望遠レンズで余計なものを入れずに切り取る方法や、絞りを開けて被写体以外をぼかしてしまう方法がある。
邪魔な欄や橙がある場合は、望遠レンズで絞りは開放にして、桐や橙に近づいて撮れば写真には写らない。
70-200mm以上の望遠レンズとテレコンバーターがあれば、ほぼカバーできるだろう。

望遠系 + 絞り開放で柵は消える

動物園が人工的な場所で-あることは百も承知の上で、できるだけ自然な雰囲|気で動物を撮影できないか挑戦してみよう。
人工物を入れずに撮影する方法は、焦点距離を変えて望遠系のズームレンズで切り取る方法と、絞りを開けて人工物をぼかしてしまう方法、そして、動物自体をよりクローズアップする方法が考えられる。
ズームレンズで切り取るときは、70〜200mm以上の望遠レンズと、予備としてのテレコンバーター(×1.4、×2.0)があれば、ほぼカバーできるだろう。
きまぐれな動物の動きは予測がつかないが、切り取れる背景の位置はあらかじめ予測がつくので、その背景のエリアに入ってくるタイミングで動物を撮ろう。
待つのは無理という方は、絞りを開けてF2.8~F4ぐらいで撮ってみよう。
レンズの焦点距離が長いほど背景はぼけ、動物だけが浮かび上がってくる。
また邪魔になる欄や艦は、撮影方法で消すことができる。
レンズはなるべく望遠系で、絞りは開放に設定しよう。
あとはレンズと欄の距離を近づけて撮る。
レンズのすぐ前にある欄は近すぎるため、ぼけて写真には写っていないように見える。
さらに、望遠レンズを使って動物の一部を切り取っても、面白い動物写真を撮ることができる。

Section 16
動きの速い被写体は置きピンで予測撮影

スピードは速いが動きを予測しやすい被写体は、いわゆる置きピンで撮影しよう。
ここに来ると予測できる位置に、あらかじめピントを合わせておく。
シヤッター速度は1/500秒以上の速さに設定し、連写すれば狙った写真が撮りやすい。
絞りを深くすると、被写体の位置が多少ずれてもピントが合って見えるメリットがある。

動きを予測して置きビンで撮影する

水族館のイルカショーなど、スピードが速いが、ある程度動きの予測がたつ被写体は、置きビンで撮影してみよう。
置きビンとは、被写体が来るであろう場所にあらかじめピントを合わせておき、被写体が入ってきたタイミングでシャッターを切る撮影方法だ。
ピントは事前に合わせてあるので、期待通りの写真が撮りやすい。
可能であれば三脚を使用すると、さらに撮りやすくなる。
P.118の作例は、あらかじめクレーンにピントを合わせておき、イルカが飛ぶタイミングを待って撮影したものだ。
動きが速いので、シャッター速度は1/1250秒に設定。
背景が明るく、イルカが黒く見えるので、露出は +1.7に補正した。
被写体の動きが予測できるとはいえ、正確な距離は飛ぶまでわからない。
そのため絞りはやや深めのF11に設定し、ピントの合う範囲を深くしておいた。
絞りを深くした理由はもう1つあり、旅の思い出として撮影場所の様子もしっかり記録したかったということがある。
シャッターは高速連写で撮影した。
置きビンは、電車の撮影などスピードが速くても予測がつきやすい被写体の撮影に便利な方法だ。
ぜひ覚えておいてほしい。

Section 17
夜景撮影に必要な機材と撮影の注意点

夜景の撮影では、三脚は力メラとレンズの重量に合ったものを使おう。
軽すぎると、ちよっとした振動でぶれてしまう。
振動対策として、ミラーアップ撮影、レリーズやタイマーを活用したい。
手ぶれ補正とノイズリダクションは、基本的にOFFにして撮影しよう。
露出は評価測光で試し撮りして、ハイライトとシャドウの露出を確認しよう。

夜景撮影での三脚は必須の機材

ここでは、夜景撮影に必要な機材と撮影の注意点をまとめてみたい。
近年、一眼レフの高感度化が進み、夜の遊園地や繁華街などでも手持ちでの撮影ができるシーンが増えてきた。
とはいえ、まだノイズが完全になくなったわけではなく、三脚が必須機材であることには変わりがない。
三脚を使うときには、まずカメラとレンズの重量が三脚の耐用重量の範囲内か確認しよう。
軽い三脚は持ち運びに便利だが、地面からの振動や、風による揺れ、シャッターの振動でも揺れて、写真がぶれる可能性がある。
カメラ側で設定できる振動対策は、ミラーアップ撮影、レリーズやタイマーの使用などだ。
そして忘れがちだが、レンズの手ぶれ補正は長秒撮影ではOFFにしよう。
ONのままだと補正限界範囲を超えて、不規則な動きが発生してぶれてしまう。
また、夜景は被写体そのもののコントラストが高い場合が多いので、白飛びなどの露出に注意が必要だ。
P.120のような工場の長時間露光などでは、水蒸気や煙が白く飛びやすいので注意したい。
筆者はカメラを三脚に固定して、評価測光でまず撮影し、2枚目で露出を調整している。
また、機種にもよるが、長秒撮影のときはノイズリダクションをOFFにして撮影したほうが、ノイズが少ない場合がある。
ONとOFFで試し撮りをして、あとで確認しよう。

Section 18
暗闇では小型のライトでピントを確認する

暗い場所では、ヘッドライトや小型ライトで被写体を照らしてピント合わせを行おう。
フォーカススイッチはAFからMFへ変更し、三脚を設置する。
ライトの光が当たり、カメラの影が被写体に落ちることがあるため、光の位置に注意して撮影したい。
広範囲を明るく撮りたいときは、長秒露光中にライトをまわして撮ろう。

ピント合わせはライトで被写体を照らす

暗い場所でのピント合わせは、被写体がよく見えず難しいと感じる方も多いと思う。
被写体を見つけたら細かい調整は抜きにして、ひとまず三脚をたててカメラ位置を決めてしまおう。
暗いとAFが作動しない場*面が多いので、MFに変更する。
同時に小型ライト、できればトレッキングなどで使うへッドライトを用意したい。
ピント合わせは、へッドライトで被写体を照らしながら、液晶モニターを拡大する方法が確実だ。
また、洞窟や夜明け前の森など、真っ暗な場所では、ライトの光をまわしながら長秒撮影することで、暗闇の中の被写体を撮ることができる。
P.122の作例は、橋の裏側にライトをまんべんなく当てて、長秒撮影したものだ。
被写体にライトを当てながら長秒撮影する場合、へッドライトだとカメラに光が当たって、被写体へ影が落ちてしまうことがある。
長秒撮影時には、影の出方を確認しながら顔の位置に気をつけよう。
慣れてくると、これらの動作は同時進行できるようになる。
あとは振動などに注意して撮影するだけだ。

夜明け前の山や湖の畔などで、明るくなってくる空の風景と手前の花を同じ明るさで撮りたいときは、カメラの前の花だけをライトで照らしながら撮ることで、全体の状況が伝わる写真になる。

Section 19
長秒撮影で光のラインを写し込む

光跡の撮影は、長秒撮影で表現しよう。
長秒撮影で撮れる像は肉眼で見ている被写体とは異なるので、撮影前に光の流れと仕上がりをイメージすることが大切だ。
力メラを設置してレリーズの準備をしたら、被写体の光の動きを注視
しよう。
撮影のポイントは、写真の中に静止している箇所を写すことだ。
それが光の動きの比較対象となる。

光を流して撮影したいときは長秒撮影を使う

光を流して撮影したいときは、長秒撮影を使って肉眼では捉えきれない光の世界を表現しよう。
P.124の作例はフィルターを使わず、三脚をたてて構図を決め、遊園地の光を長秒撮影した不
ものだ。
このように光が動く場面では、車のテールランプや発着の多い飛行場、お祭りの夜など、すべてが被写体になりえる。
実際のアトラクションには大勢の人が乗っていて、この写真のようには見えないが、光だけに注目することで、光のラインが見えてくる。
このような状況では、狭いファインダーごしに見ているとスタートのタイミングがわかりにくいので、カメラから顔を離し、レリーズ片手に被写体を注視してシャッターを切る。
動くものを主題とするときにポイントになるのは、写真の中の動いていない箇所をしっかり写すことだ。
P.124の作例では、F16で光以外の静止した手すりなどをしっかり捉えている。
また長秒撮影というと、具体的に何秒がいいのかという話になるが、すべては被写体のスピード次第だ。
撮りやすさという個人的な観点では、10〜30秒くらいの露光時間がおすすめだ。

Section 20
料理のシズル感は半逆光で演出する

料理をおいしそうに撮るには、半逆光やサイド光で撮影するのがポイントだ。
被写体が肉やスープであれば、テ力りがきれいに表現されているか、野菜であれば新鮮で瑞々しい感じが伝わるか、液晶モニターで確認しよう。
絞りが浅いと雰囲気重視のイメージ写真に、反対に絞りが深いと説明的な写真になる。

シズル感は半逆光・サイド光で撮影する

料理写真で「シズル感」という言葉がよく使われる。
このシズル感とは、おいしそう、素材の新鮮さが感じられるなど、食欲をそそられるような写真という意味合いで使われる言葉だ。
では写真がどのように表現されていると、シズル感を演出できるのだろう?
まず光だが、半逆光、サイド光で撮影しよう。
半逆光とは被写体の斜め後ろから当たる光のことをいう。
逆光と似た光だが、被写体の側面にも光が当たるのが特徴だ。
サイド光は被写体の横方面から当たる光である。
この光で被写体である料理のテカりやスープの透明感、野菜の新鮮さなどが表現され、写真の中に適度なコントラストが生まれる。
撮影場所は、できれば窓側などの自然光が入る場所が好ましい。
フラッシュで撮るなら、白い壁があればバウンスさせて半逆光やサイド光を意図的に作ることも可能だ。
絞りは開放〜F5.6くらいで撮ると、やわらかなボケを楽しめ、いわゆるイメージ写真となる。
一方で絞りをF11〜16で撮ると料理の全体にピントが合うので、説明的な写真になる。
レストランなどでは、大きく使われている写真はイメージ写真で食欲をそそるようなやわらかいイメージのものが多く、メニューなどはどのような料理かしっかりわかるように説明的に撮られているものが多い。
筆者は同じ被写体でもISO感度を調整するなどして、絞りを浅くしたり深くしたりと複数のパターンで撮影している。

Section 21
乗り物の撮影は被写体を切って臨場感を出す

船や自転車などの乗り物を撮影するときのポイントは、写真の中に、その乗り物の一部だけを入れることだ。
そうすることによって臨場感を演出できる。
また、乗り物と合わせて背景にも気を配ることが大切だ。
画面全体のバランスを考えてフレーミングしよう。
あらかじめピントを合わせておく置きビンも、乗り物撮影には有効だ。

鑑賞者にライブ感覚を与える方法

乗り物の撮影では、あたかも自分がその場にいるような、臨場感のある写真を撮ってみよう。
ポイントは、写真の中にその乗り物の一部だけを入れてフレーミングすることだ。
P.128の作例は、湖でのボートからの写真だ。
通常の風景を入れつつも、移動中のボートの先端だけを入れて撮影した。
P.129の左側の作例も、同じように自転車の一部だけを画面に取り込ん
ごことで、鑑賞者がそこにいるようなライブ感覚を与えている。
乗り物を撮影するときの注意点は、乗り物だけに気を取られていると、背景のバランスが崩れて失敗写真に見えてしまうということだ。
乗り物と背景の両方に注意を向ける必要がある。
例えば、P.128の作例ではボートの向こうにある山々と水平線のラインも意識して撮影した。
またP.129の作例では、背景の逆光と橋が途切れないよう広角24mmで撮影した。
自転車や車などは構図を先に決めて置きピンで撮影すれば、背景のことを気にせずに被写体のタイミングに集中できるだろう。
ちなみに、この撮り方は人物撮影にも応用することができる。
釣りをしている人など本人の背後から撮影すると、臨場感たつぶりの写真が撮れるので試してほしい。

Section 22
モノクロ撮影は被写体の明暗と質感に着目する

モノクロ写真は「明暗」の表現だ。
露出をコントロールして、ハイライトとシャドウの飛びと潰れに注意しよう。
モノクロ写真を撮るには、カメラの設定で仕上がり設定をモノク口に設定する。
もしくはRAW現像で彩度を落とすという方法もある。
モノクロ撮影の被写体は、「明暗」に加え「質感」「形」「線」「光」に注目して見つけよう。

モノクロ撮影での被写体の見つけ方

モノクロ撮影には、カメラの仕上がり設定を「モノクロ」で撮影する方法と、RAWで撮影して現像で彩度を落としてモノクロにする方法がある。
ここでは、カメラの設定をモノクロにして被写体を見つける方法を主に考えてみたい。
P.32では、被写体を観察して「形」「線」「色」「光」を見つけるという話をした。
モノクロ撮影では、色のかわりに「明暗」に着目して被写体を見つけよう。
明暗だけではわからないという場合は、キーワードとして「質感」を加えたい。
古い建物、曲線の美しい花びら、クラシックカーなど、人でいうと顔の数のような部分だ。
「明暗」「形」「線」「光」で見つめると、いつもと違う表情で被写体が見えてくる。
テクニックの面では、モノクロは明暗で表現するので、ハイライトとシャドウの「飛び」「潰れ」を避けたい。
飛びや潰れのコントロールは露出設定で行うので、P84を再度確認して撮影しよう。
フィルム時代にモノクロから写真の世界へ飛び込んだ筆者は今でも、モノクロ写真には色の情報がないからこそ、想像力を刺激してメッセージ性が高い表現が可能なのだと思っている。
カメラの設定はわずか数秒で行うことができる。
古くて新しいモノクロ表現へ気軽に取り組んでみよう。

Section 23
開放絞りで花に寄りボケ感を強調する

被写体に近寄って、まわりをぼかすには、開放絞り値の明るいマクロレンズを使おう。
マクロレンズがない場合は、レンズの最短撮影距離が短く、絞り値の明るいレンズを選ぼう。
手ぶれ補正はONのまま、ピントを合わせたい場所がAFエリア外のときはMFで撮る。
外で撮るときは、レンズの影が被写体にかぶらないように気をつけよう。

ボケの表現にはマクロレンズを選択する

被写体に寄って周辺が大きくやわらかくぼけている写真はどうやって撮るのだろうか?
開放値の明るいマクロレンズをお持ちの方は、素直にマクロレンズを使おう。
その他の標準ズームレンズや単焦点レンズをご使用の方は、レンズごとに被写体に近寄れる最短撮影距離が決まっているので、その数値が短い(=被写体に近寄れる)レンズを選択してほしい。
次にボケの度合いだが、レンズの絞り値が明るいほど(絞りの数値が小さいほど)背景はぼけてくれるので、ボケを第一優先で考える場合は、明るいレンズの開放値で撮影しよう。
また、レンズの焦点距離は同じ撮影距離であれば、焦点距離の長いレンズのほうがぼけるということも覚えておこう。
さて、P.132の作例は標準ズーム24-70mm(焦点距離60mm)で撮影している。
絞り値は2.8にして、被写体が背景から浮いて見えるようにした。
開放値で撮るときは、微妙な手ぶれでピントがずれることがあるので、手ぶれ補正はONにしておこう。
ピントを合わせたい場所がAFエリア外であれば、ピントはMFで合わせればよい。
外で撮影するときはレンズの影が被写体にかぶらないように注意するのもポイントだ。

Section 24
子どもをアップで切り取りかわいさを強調する

赤ちゃんの撮影は、状況撮影と近接撮影の両方ができる標準ズームレンズがおすすめだ。
引いたところから状況写真を撮影したら、被写体に近づいてアップで切り取ろう。
手足だけの写真もかわいらしいものだ。
1本の標準ズームがあれば、バリエーション豊かに撮影ができ、アルバムなどにもまとめやすいだろう。

広角側と望遠側の両方で撮影

赤ちゃんの撮影をするときは、標準ズームが撮りやすい。
筆者が常用しているのが24-70mmのレンズだ。
いつどこへ動くかわからない幼児は、目が離せないのでこれくらいの画角が安心だ。
少しだけ被写体から離れて状況がわかるように撮影したら、今度は近づいて表情のアップを撮る。
表情を撮ったら、かわいい手や足なども部分的に撮ってみよう。
マクロレンズであれば、つるつるの肌もアップで撮ることができる。
寝ている子ども、座っている子どもの撮影はかんたんだが、動き出すとやっかいだ。
臨機応変に対応できるように準備しておこう。
P.134の作例は、ノルウェーの一般家庭で撮影した赤ちゃんだ。
ご飯をぐちやぐちやにして、口のまわりもご覧の通りだ。
ただただ愛らしくて70mmで近づいた。
このように顔を切ってしまうときは、頭を切るようにしよう。
あごを切って頭だけが残ってると失敗写真に見えるが、頭を切ると表情を選んで撮ったということが伝えられる。
肌が明るいので、露出補正は +1にした。
見た目と同じようなイメージに撮影ができた。
広角側と望遠側両方で撮影しておくと、アルバムなども作りやすいのでおすすめだ。

Section 25
イルミネーションを前ボケを入れて表現する

イルミネーションを幻想的に撮るには、望遠レンズ(1OO300mm程度)を用意しよう。
イルミネーション越しに、少し離れた場所にある他のイルミネーションを狙い開放〜F5.6くらいでピントを合わせ、レンズに近いイルミネーションを前ボケとして画面に取り入れる。
フォーカスはMFにして、液晶モニターで確認しよう。

イルミネーションの中にカメラを設

街を彩るイルミネーاتションは普通に撮ってもきれいだが、ここでは望遠レンズを使って幻想的に写す方法を紹介する。
まず肉眼で、できれば片目でイルミネーションを観察する。
極端ないい方をすると、イルミネーションに顔を突っ込んでしまうくらいの近い距離がよい。
そこから遠くのイルミネーションを見ると、顔に近いイルミネーションは大きく睦しく感じるはずだ。
そこがカメラで撮ると前ボケとなる部分だ。
顔を突っ込んだ場所にカメラと三脚を設置して、フォーカスはMFにしておこう。
レンズの焦点距離は100〜300mmくらいが撮影しやすい。
まずカメラから少し離れた場所のイルミネーションに、MFでピントを合わせる。
ライブビューで確認すれば確実だ。
絞りは開放〜F5.6くらいでボケの大きさやバランスを見ながら数値を決める。
距離感とバランスがとても繊細なフレーミングなので、最初はうまくいかないだろうが、慣れると顔をイルミネーションに突っ込まなくても、ここだという場所が見えてくる。
レンズの位置も、すぐに調整できるようになる。
風で揺れたイルミネーションが偶発的にバランスを生み出す場合もあるので、驚きながら撮影を楽しもう。

Section 25
花火や遊園地の光を露光中の操作で遊ぶ

ここでは2つの撮り方を取り上げる。
1つは露光中にフォーカスリングを回す方法、もう1つは露光中にズームリングを回す方法だ。
フォーカスリングを回すと光が膨らんだような写真になり、ズームリングを回すと光が放射線状に写る。
三脚にカメラを設置して、肉眼で見る世界とは違う写真特有の幻想的な表現を楽しもう。

露光中にズームリングやフォーカスリングを回す

花火や遊園地の光などを、露光中にズームリングやフォーカスリングを回転させながら撮影してみよう。
用意するものは三脚とズームレンズだ。
レンズは、広角よりも標準〜望遠ズームのほうが望ましい。
まず、普通の撮影と同じように三脚を設置して、焦点距離を何mmで切り取るか決めよう。
花火は開いてから数秒で消えるので、露光時間は1秒から4秒前後を目安にするとよいだろう。
フォーカススイッチはMFに設定する。
P.138の作例は、花火の露光中にフォーカスリングを回転し、ピントをずらして撮影した。
花火が開くタイミングでピントをずらすと、花火の外側が膨らんで見える写真になる。
P.139の作例は露光間ズームという方法で、露光中にレンズのズームリングを回転させて焦点距離を変えながら撮影した。
そうすると放射線状に光が広がり、肉眼で見る世界とは別の、写真ならではの表現が生まれる。
撮影の注意点は、露光中にレンズ操作をすることになるので、静かにやさしく回すようにしたい。
ぐらぐらしたり、操作が雑だと、光のラインが曲がるなどして仕上がりが汚くなる。
花火大会などスペースが限られている場所では、斜面を探してカメラを設置しておくと、前の人の頭が邪魔にならず、また背後の人にも気兼ねなく撮影できるのでおすすめだ。

Column
カメラバッグは「一生もの」のパートナー

国内外を問わず、筆者が機材を運ぶ際に愛用しているのが、グローブトロッターのスーツケースだ。
大きくて、スーツケース自体の重さが軽いので、荷物をたっぷり積んでも比較的軽量ですむ。
三脚や登山具、着替え、デジタル小物などをまとめてスーツケースに入れている。
スーツケースの中には小型のカメラパッグやダンボールなどで仕切りを作り、移動中のショックが分散するように整理している。

カメラパッグは、ロープロのリュックタイプを使っている。
ポケットが多く、利便性が非常に高い。
小さい力メラパッグはスーツケースから取り出して、レンズを2本くらい入れてスナップ撮影をするときなどに重宝する。

どのパッグも「一生もの」というくらいの気持ちで、こわれたら修理をしながら長く使うようにしている。
パッグを美繁に買い替えるより、購入時に多少高くても、作りがしっかりしているほうが、結果的にコストも安くつく。
筆者にとってカメラパッグは、もはや人生のパートナーだ。

Chapter 4
交換レンズ特徴を知って使いこなす

Section 01
レンズ購入時は対応の撮像素子を確認する

デジタルー眼レフカメラは、撮像素子のサイズによって、大きくフルサイズとAPS-Cに分けることができる。
それぞれ対応するレンズが異なるので注意が必要だ。
APS-Cのレンズはフルサイズのカメラで使うと写真の周辺が黒くなり、実用上使えない。
フルサイズのレンズはAPS-Cの力メラでは焦点距離が約1.5倍になり、望遠側で有利となる。

各メーカーごとにレンズの規格が分かれる

レンズを選ぶ際にお店やカタログで見かける「フルサイズ対応」とか「APS-Cサイズ対応」といった表現は、いったいどのような意味だろうか?デジタル一眼レフカメラには、レンズを通して入ってきた光を電気信号として記録する「撮像素子」という部品がある。
これはかつてはフィルムが光を直接受けて露光していた部分で、この撮像素子のサイズによって、フルサイズとAPS-Cなど、複数の規格に分かれている。
撮像素子のサイズが異なると、写る範囲も異なる点に注意が必要だ。
例えば、広角レンズの24mmで同じ被写体を撮ると、フルサイズは広く撮影ができるが、APS-Cでは焦点距離が約1.5倍に拡大されて写るので、36mm相当の標準レンズ域に近い画角で撮影される。
レンズを購入するときは、APS-C対応のレンズはフルサイズで使うと周辺がケラれて実用上使えないので注意してほしい。
反対にフルサイズ対応のレンズは、APS-C対応のカメラでは焦点距離が約1.5倍で使用可能だ。
フルサイズ対応はキヤノンはEFレンズ、ニコンはFXフォーマット。
APS-C対応はキヤノンはEF-Sレンズ、ニコンはDXフォーマットと呼ばれる規格で区分されている。
タムロン、トキナー、シグマの各レンズメーカーも同様に規格が分かれているので、購入前には必ず確認しよう。

Section 02
自分が何を撮りたいかでレンズを選択する

風景、建築など広く遠近感を強調したいときは広角レンズ。
人物や商品、花や料理などを見た目に近い印象で撮りたいときは標準ズームレンズ。
風景から一部を切り取りたいときや、スポーツなど遠くにある被写体を大きく写したいと
きは望遠ズームレンズを購入しよう。
被写体を大きく見せたければ、マクロレンズも揃えたい。

自分の表現したいものに合ったレンズを選ぶ

レンズは高価なので、なるべく少ない本数でいろいろな被写体をカバーしたいというのが、多くの方の本音だと思う。
レンズの種類は広角ズーム、標準ズーム、望遠ズームをベースに、マクロレンズや魚眼レンズなどの特殊レンズを加えれば、ほぼ全ての被写体をカバーできる。
広角ズームは10〜30mm、標準ズームは30〜70mm、望遠ズームは70mm以上(数字は目安)である。
フルサイズとAPS-Cサイズの両方のカメラをお持ちの方は、APS-Cカメラにフルサイズ対応のレンズを装着すれば焦点距離が1.5倍になるので、実質上、焦点距離の長いレンズとなることも覚えておこう。
「何を撮りたいか、予算はいくらか、新品がいいのか」を考えると、入手すべきレンズが見えてくる。

■ 標準
標準レンズとは、焦点距離が50mmレンズのこと。
標準ズームは、30~70mmの範囲を目安にしよう。
標準レンズは人の目に近い範囲で自然な描写が特徴だ。
人物撮影、テーブルフォト、風景など用途は幅広い。

■ 望遠
70〜100mmの領域は、人物や料理、花畑の風景に適している。
圧縮効果で遠景を大きく写す200〜300mmは、風景、運動会の撮影などに適している。
標準域よりも背景が美しくぼける。

■ マクロ
マクロレンズは、被写体を大きく
見せるのが特徴だ。
1/2倍から等
倍での撮影が可能で、花や料理の
撮影でよく使われる。
花びらを幻
想的に切り取るなど、アートとも
-呼べるような表現もマクロレンズ*Aならではだ。

■ 魚眼
魚眼レンズは、肉眼では想像のつかない大パノラマを表現してくれる。
海や森、高層ビルから空、長い直線、曲線などをデフォルメして楽しみたい。
人物を撮るときは歪むので遊び心を忘れずに。

Section 03
絞り値が変われば表現も変わる

レンズの絞り値が変わると、表現が変わる。
絞り値が小さいと、ピントの合っている部分の前後が大きくぼけやすい。
絞り値が大きいと、ピントが全体的に合って見える。
開放絞り値が明るいレンズは、暗いところでも撮りやすく、ボケも大きいが、価格が高い。
開放絞り値がF4より大きい数値だと、ボケは小さくなるが、価格がリーズナブルだ。

ボケを楽しむには小さい絞り値を選ぶ

絞り値とは、レンズのカタログなどに出てくるF2.8、F4などの「F+数字」で表される値のこと。
開放絞り値とは、そのレンズの絞りをもっとも開いた状態のことをいう。
絞り値を変えるとレンズの絞りの開き具合が変わり、レンズを通ってカメラの撮像素子に届く光の量が変化する。
数値が大きくなるほど、通過する光の量は減り、数値が小さくなるほど、通過する光の量は増える。
写真表現上は、数値が大きいとピントの合っている部分の前後まではっきりと見える。
数値が小さいとピントの合っている部分の前後はぼけて見える。
「背景をぼかして花を撮りたい」という方は、レンズを購入するときに開放絞り値が小さいレンズ(F1.4、F1.8、F2.8など)を選べばよい。
絞り値が小さくて明るいレンズは、暗い場所でも撮れるシーンが多く、ボケも大きいといった表現上のメリットがあるぶん、価格も高めの設定になっている。
反対に明るい時間に外で撮ることが多く、ボケもある程度でよいのであれば、開放絞り値にそれほどこだわる必要はなく、リーズナブルなレンズを選べるだろう。
近年は撮影場所が暗くてもISO感度を上げて撮ればすむことも増えてきた。
ボケ具合が気にならないのであれば、開放F4のレンズもおすすめである。

Section 04
単焦点とズームの特徴を理解して使い分ける

単焦点レンズは、繊細な描写と大きなボケが特徴だ。
また、撮影者自身が移動することで、被写体の新たな表情を見つけやすくなる。
ズームレンズは、1本のレンズで焦点距離のバリエーションが選べるので、荷物が少なくてすむメリットがある。
近づけない被写体を遠くから拡大して撮影できるのも、ズームレンズの特徴だ。

単焦点とズームの特徴を知る

単焦点レンズは焦点距離が1つのレンズだ。
描写が繊細で、絞りを開けて撮ると背後に大きなボケが得られるという特徴がある。
焦点距離を変えられない分、被写体を大きく写したいときは撮影者が近づいて、小さく写したいときは離れて撮影する。
距離感を身体で覚えて、被写体の新たな表情を見つける喜びのあるレンズでもある。
開放絞り値の小さい、明るいレンズが多いため、暗い場所での撮影でも速いシャッター速度が得られやすい。
一方ズームレンズは、焦点距離を変化させることができる。
1本で単焦点レンズの焦点距離数本分をカバーするので、荷物の軽減につながる。
近づけない場所を望遠で引き寄せたり、これ以上引けない場所を広角でカバーすることができる。
融通が利くので、作品のバリエーションを増やしやすいのがメリットだ。
筆者は旅や風景の作品を撮ることが多いので、荷物を減らすために汎用性の高いズームレンズを3本(広角ズーム、標準ズーム、望遠ズーム)レギュラーで常備し、あとは撮影内容に応じて、マクロレンズ、シフトレンズ、魚眼レンズ、テレコンバーター、広角単焦点を組み合わせている。
単焦点レンズは、作品制作がスランプのときに利用して、身体を動かすことで被写体の見え方が硬直しないようにコントロールしている。

Section 05
遠近感の表現は焦点距離でコントロール

同じ被写体を撮影しても、レンズの種類によって表現できる内容は変わる。
遠近感を表現したいときは広角レンズを使おう。
力メラに近い被写体(地面など)を画面に入れると、さらに遠近感を強調できる。
遠くの被写体と近くの被写体の距離感が実際よりも近く見えるように、圧縮効果を利用して撮りたいときは望遠レンズを使おう。

広角レンズと望遠レンスの効果を使い分ける

P.150の作例は、焦点距離の違うレンズで被写体の大きさを変えずに撮影した写真だ。
それぞれの焦点距離に合わせて、被写体と撮影者の距離を変化させている。
広角のレンズになるほど不
背景が広く写り、望遠のレンズになるほど背景が狭くなっていることがわかる。
このことから、広角レンズは遠近感を強調し、空間を広く切り取る描写に優れていることがわかる。
手前の被写体と奥の被写体の間の距離が、実際よりも離れて写る効果だ。
広角レンズで遠近感を出す場合は、カメラ位置を低くし、地面に近づけて写したり、壁などに近づけて写したりすると、遠近感をより強調できる。
一方、望遠レンズには圧縮効果という特徴がある。
圧縮効果とは、距離の離れている手前と奥の被写体の距離が縮まって見える効果で、密度を濃くして撮影したいときに有効である。
P.150の200mmの焦点距離で撮影した写真では、主役の被写体(女性)と背景の距離が縮まって見えている。
花や都市風景などの被写体は、圧縮効果を有効に使える被写体といえるだろう。

Section 06
50mm限定で撮影するのは上達への近道

焦点距離を50mmに限定して撮影してみよう。
自分の身体を動かして被写体との距離感をつかみ、アングルを探すことで、「自分で見つけて撮る」という能動的な撮り方に変わる。
それは独自の作品が撮りやすくなるということにもつながる。
50mmは広い被写体も身近な被写体も撮れる、練習に最適な画角といえるだろう。

受動から能動へ意識を切り替える

一眼レフを購入したときにセットになっていたズームレンズで撮影しても、何だか思い描いていたような写真が撮れない、どうしよう・・・
こんなときの対処法をご紹介したい。
それは「焦点距離50mm限定で撮影する」というものだ。
単焦点レンズをお持ちの方はもちろん、ズームレンズの方でも焦点距離を限定して撮ってみよう。
被写体を見つけてズームを使わないと、必然的に撮影者が移動して距離をつかむことになる。
すると、被写体との距離を考えながらアングルも工夫して考えるようになる。
このプロセスが「ズームで撮れるものを撮らされていた」という受動的な状態から、「自分で見つけて撮る」という能動的な撮り方へと変わることにつながる。
50mmは人の目に近い焦点距離なので、ストレートな作品が撮りやすく、練習に最適な焦点距離といえるだろう。
また、P.153の作例のように、50mmは被写体を寄りで撮ることも、広く撮ることもできる画角である。
さらに、単焦点であれば、明るいレンズが多いので、ボケの効果も学びやすい。
「50mmに戻る」という原点を作ることで、他の焦点距離の世界観に触れるときの喜びも一層大きくなるだろう。

Section 07
遠近感の強調でメリハリのある表現を

広角レンズは、被写体を広く写すだけでなく遠近感を強調することでメリ八リのある表現を実現できる。
近くの被写体はより大きく、遠くの被写体はより小さく写るので、遠近感が強調された写真となる。
また、被写体に極端に近づくことで、デフォルメ効果により被写体を歪ませて写す表現ができる。

遠近感を強調してメリハリをつける

広角レンズは情景を広く写すことができるが、それだけでは被写体が小さくしか写らず、単に広いだけでメリハリのない写真になってしまう。
広角レンズでメリハリのある写真を撮るには、「遠近感の強調」「デフォルメ効果」などの特徴を意識して撮影するようにしたい。
遠近感とは、手前のものが大きく、後ろのものが小さく見えることだ。
P.154の作例の砂丘は、たったまま撮影しても広い写真が撮れるが、それだけではメリハリが出ない。
そのため、地面ギリギリまでカメラの位置を下げ、被写体である砂丘との距離感を縮めて、手前の地面から画面に入るようにした。
手前の地面はより大きく、奥の地面は小さく写ることで、遠近感が強調された写真となった。
一方、デフォルメとは、変形する、歪曲するという意味だ。
広角レンズを使うと、遠近感が極端に強調されることで、被写体が歪んで写るデフォルメ効果を得ることができる。
P.155の作例の水牛は、17mmの焦点距離で、レンズのすぐ前に水牛の鼻が近づいたため、鼻が大きめで顔が長くデフォルメされて写った。

Section 08
背景を大きくぼかす3つのボイントを知る

背景を大きくぼかすポイントは
① 絞り値は開放(F2.8〜4)
② レンズの焦点距離は100mm以上(できれば200mm以上)
③ レンズの最短撮影距離まで被写体に近づいて撮るの3点の組み合わせだ。
ボケの描写はレンズの絞り羽根の枚数によっても変わってくるので、所有しているレンズのスペックを確認しよう。

ボケを作り出すための3つのボイント

ボケの効果を得たい場合、レンズは望遠レンズを選択しよう。
ボケを作るボイントは

① 絞り値
② レンズの焦点距離
③ 被写体との距離の、3つの組み合わせだ。

①の絞り値は、お持ちのレンズの開放絞りの数値で撮ろう。
ピントを合わせた被写体の前後が大きくぼけて写る。
②の焦点距離は100mm以上、できれば200mm以上だと効果がわかりやすい。
人物のボートレートなど背後をぼかして整理したいときなどは、長い焦点距離で撮影するほどやわらかい印象になり、効果的だ。
③の被写体との距離は、各レンズで決まっている最短撮影距離に近づくほど、同じ絞り値でもボケが大きくなる。
花の撮影などでは、背景がぼけて幻想的な写真が撮りやすい。
背景に写るボケの形状は、レンズの中にある絞り羽根の枚数が多いと円形になり、枚数が少ないと五角形などに見える。
円形のボケは玉ボケと呼ばれ、特に夜間のイルミネーション撮影などで玉ボケがあると幻想的な仕上がりになる。
逆光やイルミネーションなどの点光源で、見え方を確認してほしい。
P.156の作例は前後ボケ。
P.157の作例は花に近づいて背後をぼかした写真だ。
筆者は開放F4を愛用しているが、絞り値の選択によるボケ具合は、皆さんのお好み次第で決めてほしい。

Section 09
望遠レンズの切り取り効果を利用する

風景撮影では、望遠レンズを使って電線や鉄塔などの人工物を外し、見せたいところだけを切り取ろう。
撮影場所から動けない場合は、しゃがんだり、脚立を使って角度を変えるなどして、余計な要素をフレームに入れないように工夫しよう。
どうしてもフレームから外せない不要な要素がある場合は、ぼかすことで主題の引きたて役にできる。

望遠レンズは余計な要素を外すために使う

P.156では、望遠レンズのボケの効果について説明した。
ここでは、「切り取り効果」という視点で望遠レンズを見てみよう。
切り取り効果とは、周囲の余計なものを外して、狭い範囲を切り取るように写すことができる、望遠レンズならではの効果だ。
望遠レンズの画角の狭さを利用したもので、例えば風景写真では、電線や電柱、鉄塔などの不要な要素をフレームから外
したいときに使用する。

旅先で風景を撮影していると、ここに電線がなければ・・・
というシーンも少なくない。
このような場合に、望遠レンズの切り取り効果を利用したい。
その上で、撮影者が移動して構図を探す、しやがんでカメラ位置を下げる、脚立や坂の上に登って被写体を見下ろすようにして角度を変える、などの地道な努力を加えていこう。
とはいえ、これらはマイナス要素を外すという楽しくない作業かもしれない。
筆者はむしろ、魅力的な被写体を見つけたら、余計な要素を入れずにシンプルに表現することに切り取り効果を利用している。
P.158は光のカーテンを主役にし、海、雲という自然のシンプルな要素だけに注目して、船などを排除して切り取った写真だ。
P.159の作例では、黄色と赤の小さな実にスポットライトが当たっていたので、そこを緑で包むような形に切り取った。
被写界深度を浅くし、前ボケ効果を加えて表現している。

Section 10
望遠レンズで歪みの少ない写真を撮る

写真を歪ませたくないときは、望遠レンズで撮影しよう。
このときの焦点距離の目安は150〜160mm以上だ。
建物のような「線」で構成された被写体は、広角レンズだと歪みが目立ちやすい。
望遠レンズで被写体から離れて撮影することで、遠近感がなくなり、歪みのない写真を撮ることができる。

歪まない目安は150〜160mm

広角レンズは、遠近感を強調した描写が特徴だ。
画角が広く、一般的に画面の周辺が膨らむ樽型収差が出て、歪んで見える傾向がある。
画面周辺は特に歪みやすく、人物写真の場合、周辺に位置する顔の輪郭が歪んで写ってしまったりする。
一方、望遠レンズは、焦点距離が長くなるほど遠近感がなくなり、圧縮効果で被写体を平面的に描写できる。
歪みが目立たず、人物写真も輪郭の歪みのない素直な描写になる。
目安として、焦点距離150〜160mm以上での撮影がおすすめだ。
曲線で構成されていることが多い風景写真ではあまり気にならなくても、直線の構成である建築物を撮影すると、歪みが目立ってくる。
このようなときは、被写体から離れて望遠の焦点距離で撮影しよう。
P.161上の作例は歪みが出やすい広角レンズで下からあおって撮影したため、建物の全体像もラインも、バランスが悪くなった。
P.161下の作例は、被写体から離れて望遠側で撮影したため、素直な描写になった。
望遠レンズでは被写体を歪ませずに撮れるが、その分平面的になる。
光を意識して立体的に見せたり(P44)、ボケを利用して被写体を背景から浮き上がらせたりする(P.156)などの効果を同時に意識して撮影しよう。

Section 10
マクロレンズで被写体に近づき等倍で撮る

マクロレンズは、被写体を大きく、そして背景のボケも大きく写せるレンズだ。
ただし、通常のレンズよりも撮影倍率が高いぶん、ぶれが目立ちやすい。
手ぶれ補正はONにし、三脚を使って、MFとライブビューで細かいピント合わせを行いたい。
1本目のマクロレンズには、扱いやすい90-100mm前後の中望遠マクロがおすすめだ。

最初の1本は中望遠マクロを選ぶ

マクロレンズは「被写体に近づいて大きく写せる」「背景のボケが大きい」ことが主な特徴である。
被写体は花、昆虫、水適、植物などの、比較的小さなものが得意だ。
マクロレンズの撮影倍率は0.5〜1倍(等倍)。
等倍のレンズで撮影するとは、1円玉(直径22.6mm)がカメラの撮像素子に22.6mmのサイズ(等倍)で投影されるという意味である。
通常のレンズの撮影倍率は0.1〜0.25倍程度のものが多いので、いかにマクロレンズが大きく撮れるかがわかるだろう。
マクロレンズは、焦点距離によって大きく3種類に分類される。
50-60mmの標準マクロ、90-100mmの中望遠マクロ、200mm前後の望遠マクロである。
標準マクロは最短撮影距離が短く、レンズ自体も軽くて小さいというメリットがある。
持ち運びに便利だが、焦点距離が短いので背景が広めに写り、要素を整理しにくいという側面もある。
中望遠マクロはボケがきれいで、背景も標準よりもシンプルに写り込む。
1本目のマクロとしておすすめしたい。
望遠マクロは、近づけない被写体に有効だ。
例えば、昆虫や野鳥などのように、近づいたら逃げてしまうような被写体は望遠マクロが活躍する。
マクロはぶれが目立ちやすいので、手ぶれ補正はON、三脚とライブビューを使って、細かいピント合わせはMFで行おう。

Column
巨匠に人物写真の王道を見る

ここでは、著者が学習のために今も折に触れて読み返している写真集を紹介する。
ひとつは、エリオット・アーウィットの『Personal Exposures』。
人物を撮るときは、被写体として人を見るだけでなく、目に見えない関係性を撮るのだということを教えてくれたマスターピースだ。
何度見ても発見があり、英語で書かれている平易な文章を何度も読み返すと、軽妙に見える彼のスナップがいかに深い洞察から生まれているかがわかる。
「写真を見て人が笑ってしまうことが私にとっての最高の達成感を感じる瞬間だ」というアーウィット氏の言葉に深く頷かざるをえない。

もうひとつはファッション写真の巨匠、リチャード・アヴェドンの『EVIDENCE』。
「写真のディテールとは何か」「貢感とは何か」という問いを何度見ても突きつけてくる。
背筋がつい伸びてしまうような、人物写真の王道がここにある。
まだまだ紹介したい本はたくさんあるが、まずはこの2冊。
図書館でも見ることができると思うので、ぜひ手に取ってほしい。

Chapter 5
機材やプリントのメンテナンスと保管方法を知る

Section 01
ブロアーとクリーナーでカメラの汚れを落とす

せっかく入手した力メラやレンズは、できるだけ長く使いたいものだ。
そのためには、メンテナンス用の道具を揃えたい。
ホコリや水適を飛ばすブロアー、レンズ用のクリーナーとクリーニングペーパー、ボディを拭くためのクリーニングクロスは必需品だ。
クロスはカメラ保護にも使えるので、大きめのものを用意しよう。

ホコリはプロアーで吹き飛ばす

せっかく購入したカメラとレンズなのだから、できるだけ長く使いたいものだ。
筆者は2カ月に一度の割合でメーカーのサービスセンターで清掃してもらう以外に、日常のメンテナンスを撮影ごとに行っている。
ここではそのメンテナンスのために揃えている、「これだけは必要」と筆者が考えるアイテムを紹介する。
まずはブロアー。
これはレンズ表面についたホコリや水適などを吹き飛ばすためのものだ。
ホコリがレンズについていると、F11~F16など被写界深度を深く設定して撮影する場合に、黒いシミのようなものが画面に写り込んでしまう場合がある。
また、水適がレンズについていると、その箇所だけピントが外れて、にじんで写ることもある。
このようなことを避けるために、あらかじめブロアーでレンズを清掃しておこう。
レンズの汚れが目立つときは、レンズクリーナーを使用したい。
アルコールフリーのものは速乾性が高く、ムラになりにくいのでおすすめだ。
使い方は、クリーニングペーパーに少量(1〜2満)染み込ませて、レンズを優しく素早く拭き取る。
ボディについては、ホコリなどをブロアーで飛ばしたあとに、クリーニングクロスで拭きあげる。
このクロスは、筆者はカメラのボディを包んでカメラを保護する目的でも使用している。

Section 02
撮像素子へのゴミの付着を予防する

撮像素子にゴミが付着しないように、事前に防止策を考えよう。
レンズ交換はホコリの多い場所では行わないのが基本となる。
風が強い場所では、身体で風を防止するか、車などで風よけをする。
レンズマウントを上向きに置かないことも覚えておこう。
センサークリーニングでもゴミが落ちないときは、サービスセンターで清掃してもらおう。

ホコリの多い場所ではレンズ交換をしない

最近の一眼レフカメラは、撮像素子にゴミがつかないような工夫がされていて、以前ほどゴミに悩まされることがなくなった。
それでも、外での撮影が続くと、明るい空などのヌケのよいシーンを写した写真に黒いほくろのようなものが写り込んでいることがある。
レンズがきれいなら、それは撮像素子についたゴミが原因である可能性が大きい。
そうならないように対策を考えてみよう。
ゴミが混入するのはレンズ交換のときなので、防止策として「ホコリの多い場所ではレンズ交換を控える」「風が強い場所では、身体を風上に置いてなるべくカメラに風が吹き込まないようにする」「レンズマウントを上向きに放置しない」などの工夫が必要だ。
撮像素子前面についたゴミを除去するセンサークリーニング機能がカメラについている場合は、機能をONにしておくと、ゴミは自動で除去される。
撮影中にゴミに気がついたら、メニューからダストデリートデータ取得を選んでセットしよう。
真っ白な無地の被写体を撮影して、ダストデリートデータを取得したら、それ以降のJPEGとRAWデータに情報が付加される。
それでもゴミが除去できない場合は、サービスセンターへ持ち込むか、郵送で清掃したい。
撮像素子にキズがつく恐れがあるので、ブロアーやクリーナーで自分で清掃しようとするのは厳禁だ。

Section 03
カメラとレンズの保管は湿気に要注意

大切なカメラとレンズは、しっかりと湿気対策をしてカビから守ろう。
レンズは、防塵・防満のものを選ぶのが理想。
使用後は、水分を拭き取り、自宅では防湿庫に入れて保管しよう。
湿度は40〜50%くらいが目安となる。
湿気が多すぎるのはもちろん、乾燥しすぎないようにも気をつけたい。
プラスチックケースでできた防湿ボックスも有効だ。

温気対策を怠るとカビが生える

ここでは、湿気からカメラやレンズを守ることを考えたい。
まず、雨天時など湿気の多い中での撮影には、なるべく防塵・防満のレンズを使用することが好ましい。
そして撮影後は、水分をしっかり拭き取ろう。
レンズは湿気対策を怠ると、カビが生えて画質が低下する場合がある。
カビが生えてしまえば、修理に出さない限り改善は困難だ。
P.166で紹介したメンテナンスを普段から行い、なによりも日頃から機材の状態を気にかけておくことが大切だ。

理想は、1〜2カ月に一度はサービスセンターでメンテナンスをしてもらうことだ。
「それほど頻繁にメンテナンスしてもらうのは難しい・・・」という場合には、数カ月に一度でも構わない。
かかる費用は、カメラ購入時についてくる保証期間内であれば無料、期間を過ぎていれば数百円~1,000円程度の予算でメンテナンスしてくれる。
サービスセンターでは、清掃と同時に基本動作なども確認してくれるので、トラブルの事前防止にも役にたつだろう。
カメラとレンズの普段の保管については、できれば防湿庫(2〜3万円)を購入して、湿度管理をしながら行うのが望ましい。
防湿庫を使用する場合、20%以下など、乾燥しすぎると乾燥状態を好んで発生するカビもあるので、筆者は40~50%を目安にしている。
また、リーズナブルな方法としては、プラスチックケースに防湿剤が入っている「防湿ボックス」を利用するという選択肢もある。

Section 04
写真は外付けハードディスクに保存する

撮影した写真データの保存は、メモリーカードに入れっばなしにするのではなく、外付けハードディスクに保存して、データを消失しないように心がけよう。
保存容量は、ハードディスクの最大容量の5〜6割くらいに留めておくようにしたい。
画像の名称は変更せず、そのままのファイル名で保管しておけば、検索時に混乱しにくい。

ハードディスクも二重にバックアップする

写真を保存する媒体はいろいろあるが、SDカードやCFカードに入れつばなしは危険だ。
大事なデータはパソコンのハードディスクと外付けハードディスクなど、二重にバックアップをとるようにしたい。
SDカードやCFカードのデータは誤って消してしまう可能性があるし、SDカードは端子が剥き出しになっているので不測の事態が起きやすい。
CD-RやDVD-Rは容量に限界があり、大量に撮影する機会が多い一眼レフでは保存にはあまり向いていない。
USBメモリーも短期の保存には便利だが、紛失の危険性がある。
パソコンのハードディスクは容量が増えるとパソコン自体のパフォーマンス低下するので、外付けハードディスクを用意するのがよい。
筆者は、同じデータを必ず2台以上の外付けハードディスクに保存している。
それぞれのハードディスクは、容量が500Gだとすると250〜300Gぐらいの使用領域にとどめ、満タンにしないことが大切だ。
満タンの状態で使い続けると、データの読み込みに負担がかかり、故障の原因となりやすい。
また、RAWとJPEGで同時記録撮影をしている場合などは、ファイル名を変えずにそのまま保存しておくと、検索するときに便利だ。

Section 05
外付けハードディスクはクッションで囲んで衝撃対策

撮影データは、とても大切なものだ。
不測の事態に備えて、保管には万全を期したい。
筆者は、切り出したクツション材で外付けハードディスクを囲み、保護している。
使用しないときには、落雷による破損を防ぐために電源を抜き、地震による落下を予防するためにハードディスク自体が動かないようマジックテープを利用している。

「念には念を」のハードディスク保管方法

写真データを外付けハードディスクに保存してからも、注意は必要だ。
外付けハードディスクは衝撃に弱いので、中規模程度の地震に耐えられるくらいの対策は日常的に行っておきたい。
筆者の外付けハードディスクは、カメラバッグに使用するようなクッション材をブロック状に切り取り、保護材として利用している。
使用時は熱対策として、クッションを取り外して使用する。
メリットとしては、滑りにくく、ハードディスク同士がぶつからないということが挙げられ、少しくらいの地震なら揺れるだけで、飛び出してこない。
また、小型の外付けハードディスクにはマジックテープを貼り、すべり落ちないような工夫をしている。
筆者は11台の外付けハードディスクを使用しているが、バックアップ用のハードディスクを一ヶ所にまとめると、不測の事態が起きた場合に同じような破損をしてしまうので、離れた場所に配置して備えている。
雷による破損に備えて、電源は雷タップを使用すると同時に、AC電源も使わないときは抜いてある。
大事なものだからこそ、「これだけやってダメならあとはしようがない」と納得できるレベルまで対策を練っておきたい。
外付けハードディスクを置いてある机自体も、揺れに対応できるように壁に貼りつけてある。

Section 06
プリントした写真は無酸性ボックスで保管する

プリントした写真は、なにもケアしないで放置しておくと退色や変色が早くなる。
特に直射日光が当たる場所には要注意だ。
より長く楽しむためには、無酸性ボックスを活用したい。
ボックスのサイズは、よく使用するプリントサイズに合わせて決めること。
整理する際には、中身がわかるようにボックスの外側にシールを貼るとよい。

無酸性ボックスで退色を予防する

保存方法にもよるが、一般的に紙にプリントした写真は時間が経つにつれて退色して色があせてしまう。
特に太陽光が当たる場所では、太陽光に含まれる紫外線が写真の色素を分解してしまうため退色が早い。
また、空気中の微量なガスなどが湿気でプリントに吸収されると、プリントは酸化して、劣化しやすくなる。
そのため、長期間に渡ってプリントをよい状態で楽しむためには、直射日光に当たらず、湿度の高すぎない場所に保管するのが望ましい。
そこで筆者が使用しているのが、写真保管用の無酸性ボックスだ。
インクジェットプリンターで出力したプリントは、乾燥後すべてこのボックスの中へ入れている。
内容がわかるように、ボックスにはプロジェクトごとにシールを貼りつける。
個展などのプロジェクトで必要になったときには、中からプリントを取り出して机の上などに並べ、あらためてセレクト作業を行っている。
プロジェクトが終わればシールをはがして、そのボックスは次のプロジェクト用として使うこともある。
無酸性ボックスには、いろいろなサイズがある。
購入する際には、自分がよく使用するプリントサイズに合った大きさのものを選ぶようにする。
無酸性ボックスは馴染みのない製品かもしれないが、量販店やインターネットでかんたんに入手できる。

Section 07
染料と顔料の特徴を考えてプリンターを選ぶ

染料プリンターは発色がよく、プリントのスピードも速い。
ノズルが詰まりにくいので、メンテナンスも安定している。
顔料プリンターは耐光性・耐水性が強いので、色が安定して長期の展示や保存に向いている。
ランニングコストは顔料のほうがやや高めだ。
また、無線LANに対応したプリンターはデスクまわりがすっきりして作業が楽になる。

こだわり派は顔料プリンターを選ぶべき

プリンターを購入する際に大きく悩むのが、染料と顔料の選択だろう。
染料は、耐水性と耐光性が顔料と比べると劣るが、色素数が多いので発色がよい。
ノズルにインクが詰まりにくく、プリントのスピードも速く、安定性も高い。
プリントの色は、プリント直後は発色が安定していないため、数時間置いてから色の判断を行いたい。
発色がよいので、ビジネスシーンでのプレゼンや短期間の展示に向いている。
顔料は、溶剤の中に粒子が溶けきらない状態で存在し、プリントの際には用紙の上にその粒子が乗ることで発色している。
耐水性と耐光性がよく、プリント後の変化はほぼないので、プリント直後に色の判断ができる。
長期間の展示や保存という点では顔料を選ぶべきだろう。
プリンター自体の値段は染料タイプのほうが安く、プロ向きの機種でも5万円くらいで、種類も豊富だ。
一方、顔料は種類が少なく、写真にこだわりを持つ人に向いている。
プロ向きの機種で10万円前後だ。
また、インクのコストは顔料タイプのほうがやや高めとなっている。
プリンターの用紙は、A3以上のサイズに対応しているプリンターであれば、展示や資料作成など幅広く対応できるだろう。
ちなみに、プリンターとパソコンの接続に無線LANを使えるプリンターであれば、デスクまわりがすっきりするのでおすすめだ。

Section 08
インクは純正がおすすめ用紙は初心者は光沢を

意外とコストがかかるのが、プリンターのインクだ。
サードパーティー製のインクはリーズナブルだが、おすすめは純正だ。
色の再現度が高く、プリント設定を調整しやすいというメリットがある。
また、用紙は光沢、半光沢、マットの3種類が主流だ。
最初は色鮮やかな風景写真にも向き、リーズナブルな光沢を選ぶとよいだろう。

インクはコストが高くても純正を選ぶべき

自宅でかんたんにプリントできるインクジェットプリンターだが、枚数が増えるとインクの減りも早い。
インクの消費が多くなると、コストも無視できなくなってくる。
そこで、ついリーズナブルなサードパーティー製のインクを使いたくなるが、あえて筆者は純正インクをおすすめする。
インクジェットプリンターのノズルは極小で、インクの純度が低いと目詰りしやすくなる。
純正インクでも長期間使わなければ乾燥して目詰りしてしまうが、サードパーティー製のインクはその傾向が強くなる。
ヘッドの劣化を早めることにもなるので、色の再現度や修理費用などをトータルで考えても、結局は純正のほうが安くつくはずだ。
目先のコストを考えてサードパーティー製を使いたくなるかもしれないが、ここはメーカー推奨のインクを使うようにしたい。
プリント用紙は、用紙の種類は光沢、半光沢、マットの3種類が主流で、その他にもバライタなどがある。
光沢は色の再現度が高く、色鮮やかな風景写真にも向いている。
マットはしっとりと落ち着いた印象。
半光沢は、光沢の豊陸とマットの落ち着いた特徴を併せ持った中間的な用紙で、高級なイメージがある。
バライタは階調表現が繊細にできる用紙で、本格的な表現に向いている。
値段は一般的には光沢が一番安いので、「最初の用紙」としておすすめだ。
また、それぞれの用紙にはスタンダードやプロ仕様などグレードがある場合もあるので、用途に合わせて選択しよう。

Column
読み返すべき巨匠の風景写真

P.164では人物写真の写真集を紹介したが、ここでは、風景写真の写真集を紹介する。
1冊目は、フランスの街を撮り続けたウジューヌ・アジェの『PARIS』。
淡々と撮るということが、いかにクリエイティブな行為であったか、生涯を通じてパリを撮り続けたアジェの静かな写真が語りかけてくる。
1枚の意味が重かったフィルムの時代に思いを馳せてみよう。
2冊目は、ヴィム・ヴェンダースの『WRITTENIN THE WEST』。
湿度のない、乾いた写真の連続で、見ているだけで愛が渇くような質感と色がある。
映画監督でもあるヴェンダースの写真からは静かな音が聴こえてくる。
いい小説を読んでいるときのように行間を感じながらページをめくり続けると、いつのまにか本の中にいる自分の視線に気がつくだろう。
3冊目は、マイケル・ケンナの「A TWENTY YEAR RETROSPECTIVE」。
筆者が会社員をやめて写真の世界へ飛び込もうと決意したのは、1996年に渋谷で見た彼の小さな個展がきっかけだ。
この写真集はモノクロの深淵へ読者を誘い込む良書である。
あのとき販売されていたオリジナルプリントは10万円前後だったが、今はその何倍もするらしい。

Chapter 6
揃えておくべきアクセサリー

Section 01
携帯性や使用感を考慮して三脚を選ぶ

三脚は、振動対策も含めてカーボン製がおすすめだ。
脚は安定性を重視するなら3段を、携帯性を重視するなら4段を選ぼう。
雲台は3WAYか自由雲台、いずれもお店で触って扱いやすいと感じるほうを選ぶとよい。
力タログでは、サイズなどに加えて耐荷重もチェックし、持っている力メラとレンズの重さをカバーしてくれるものを探そう。

三脚のおすすめはカーボン製

カタログに大量に掲載されている三脚の中から、最適な1本を選ぶには、自分の撮影スタイルに合ったものを選ぶことが重要だ。
ここでは参考までに、風景や旅の撮影をメインとする筆者が考える三脚の選び方を紹介したい。
まずは素材。
筆者はカーボン製を使用している。
カーボン製は振動減衰性に優れているうえ、軽量なので海外取材や登山などにも便利だ。
センターボールに重し(カメラパッグなど)を乗せることで、軽量による不安定さをカバーできる。
また、脚は3段のものを選ぶ。
その理由は3段のほうが脚の径が太く、安定しやすいからだ。
一方、4段は全体が短くなるので、携帯性に優れているというメリットがあり、小さいスーツケースでも入るだろう。
重量はほとんど変わらないので、携帯性を重視するか、安定性を重視するかで判断しよう。
雲台は3WAYと自由雲台があるが、筆者は「使い慣れている」という理由で3WAYを愛用している。
自由雲台も自由な角度にカメラを設置できるというメリットがあるので、実際に店頭で触らせてもらって使用感のよいほうを選ぶとよい。
なお、三脚には耐荷重がある。
自分のカメラと常用レンズの重さを量り、三脚の耐荷重がそれに適合しているかを確認してから購入しよう。

Section 02
フィルターを揃えて表現の幅を広げる

日中にスローシャッターで撮影したければ、NDフィルターを揃えよう。
減光効果が大きいほど、遅いシャッター速度で撮影することができる。
反射する光の量を調整するPLフィルターは、薄型のものであれば広角レンズでも、写真の一部が欠けることなく撮影できる。
フィルターは視認性の高いケースに入れて、すぐに使えるように準備しておこう。

NDフィルターとPLフィルターを揃えておく

レンズのフィルターは、カメラやレンズの性能だけでは表現できない効果を得られるので、撮影内容に応じて揃えておきたいアイテムだ。
筆者は、特にスローシャッターのためにND(減光)フィルターを愛用している。
使用頻度が高いのはND8、ND16、ND400だ。
効果はそれぞれ3段分減光、4段分減光、82/3段分減光で、必要な露光時間の長さや被写体の状態(海の波、滝、雲の動きなど)に応じて選んでいる。
自然界の動きは人間の想像を超えることが多いので、いろいろな状況に対応できるように多くの種類を携帯しておきたい。
また、PL(偏光)フィルターも、色をはっきり見せたいとき、水面の反射を迎えたいときなどによく使用する。
筆者は広角レンズをよく使うので、フィルターによって写真の一部が欠けないように薄型のC-PLフィルターを揃えている。
C-PLフィルターは、フィルターを回転することで効果の違いをコントロールして、フアインダーで確認できるので便利だ。
その他、レンズを守るための保護フィルターも揃えておくとよいだろう。
フィルターケースは、購入時のケースがかさばるようであれば、市販のケースを利用するとよい。
透明な、視認性の高いケースが便利だろう。

Section 03
撮影スタイルに応じてその他のアイテムを揃える

カメラのアクセサリー類は、必要に応じて揃えるようにするとよい。
カメラバッグは、自分の撮影スタイルに合ったものを選ぼう。
登山をするなら機材プラス食料が入る大容量バッグ、海や湖での撮影が多い方は防水バッグ、飛行機の移動などでも使用する方はパソコンが入るパッグがよい。
レリーズと指先部分の開閉が可能な手袋もおすすめだ。

カメラバッグはリュックタイプがおすすめ

カメラ機材を揃えたら、カメラパッグにも目を向けよう。
多種多様なバッグの中から自分に合ったものを選ぶには、自分の撮影スタイルを把握することが大切だ。
ここでは風景写真を撮影する機会の多い筆者が、カメラバッグを選ぶポイントを紹介する。
まず、カメラバッグのタイプとしては、リュックタイプのバッグをおすすめする。
肩掛けタイプは、長時間の登山では左右のパランスが保てず疲れてしまう。
リュックタイプは両手が自由に使えるので、撮影しながら歩きやすいというメリットもある。
筆者はロープロというメーカーのバッグを愛用している。
雨天時に備え鞭の底にカバーが標準装備されているので、機材保護の観点からも安心だ。
容量については、機材に加えて食料なども運ぶので、身体に合った範囲での大容量のバッグを選んでいる。
収納が多いと、「ヘッドライトやレンズを整理して入れる」など自由度が高い使い方ができる。
ノートパソコンが入れられるのも、ポイントの1つだ。
海外撮影など、機内持ち込み時にノートパソコンが入ることでとても助かっている。
また、水辺での撮影が多い方は防水タイプのカメラパッグも考慮に入れたい。
店頭で実際のパッグを触り、使用用途と体力に合致したサイズのカメラパッグを見つけてほしい。

レリーズと手袋も欠かせない

撮影に役立つアイテムは豊富にある。
ここでは、筆者が愛用している2つのアイテムをご紹介する。
1つはレリーズで、風景撮影などのスローシャッター時の振動対策用として欠かせないアイテムとなっている。
筆者が使用しているレリーズは、インターバル撮影機能やタイマーも搭載している優れものだ。
インターバル撮影機能とは、一定間隔でシャッターを切り続ける機能で、タイムラプス映像の素材としての写真撮影もかんたんにできる。

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